Title :新たなるもの(1/6)
Author:ちきー
DATE:2007/06/25
Series:Death Note
Rating:NC-17
Category:Romance,Drama,AU,Crossover(harry Potter)
Paring:L/月
Warning:slash,Sexual Situations,OOC-ness,MPreg
Archive:Yes
Sequel:加わるもの
Disclaimer:
ここに登場しているキャラクターの著作権はすべて集英社及び、小畑、大場両先生にあります。作者は楽しみたいだけであり、著作権を侵害するものではありません。また、この作品で利益を得るものでもありません。
Summary:
一家に新たに家族が加わる。成長した彼が望むものとは…。
眠りの中にいる自分に響いてきた声。
その声をずっと聞いていたくて眼を覚ますのに、響きがあまりにも心地よくて眠りに戻される。
ここに居ては駄目だ。その声の主に早く逢わなくては。
早く、早く…。焦燥ばかりが募っている。
「L、痛い…」
「あ、すみません。乾いてしまいましたか」
ずるりと僕からLが抜ける。抜けるだけの動作だと言うのに、ゾクゾクと身が震えた。
男の体は自ら潤うようには出来ていない。どれだけLが準備してくれても、長い性交ではジェルが乾いてしまう。だから、いつもは痛みを感じる前に、Lが愛撫の隙間を縫って足してくれていた。
「赤くなってしまいましたね。痛みはどうですか?」
親指が後口の縁を広げる。先ほどまでLが埋まっていたそこは、だらしなく口を開けLが再び埋まるのを待っている。触診のように触れてきた指にも嬉々として絡んだ内壁はとうに僕のコントロール外だ。
「少しひりつくだけ…」
ちゅと音が立った。ひりついた箇所にLの唇が触れ、滑った舌で癒される。唾液をまとった舌が歓迎する内壁を掻き分けて埋められる。舌先が壁の一つ一つを辿った。指ともLとも異なる動きと感触。
「ん、ん…」
捕らえられた下肢で揺れている黒髪に手を差し入れ、乱した。
「L…」
宙に浮いていた脚をLの背中に降ろし、爪先で背中の筋肉を辿る。いつもは体温があるかどうかすら怪しいのに、今は微かに汗ばんでいる。そんな彼が見れるのは自分だけと優越感が湧いた。
勃ち上がって雫を溢れさせる僕のものを避け、下腹から臍まで舌が濡れた軌跡を描く。空いてしまった後口には、すぐにジェルを纏った指が潜り込んだ。指も舌も僕の弱いところを激しく責めるのではなく、緩やかに、繰り返し、刺激されゆっくりと確実に快楽を高められていた。二人とも一度吐き出しているから、二度目はじっくりと互いを楽しんでいる。
両脚をシーツに落とされた。Lの手で大きく開かされた脚の間には、Lとこう言う関係を結んで以来、消えた事がない紅い跡が散っていた。そして、また一つ、紅が増える。
「あ、あ…」
体を起こしてLの頭を掴む。これまで一緒に過ごした年月はLに優しかった。若いけれどもう青年ではない顔付きと、家族を見る時だけはうっすらと感情が現れる真っ黒の瞳には深みがあった。それに、まっすぐ僕を見るLは、真実欲しいものを手に入れたものだけが得る満たされた余裕があった。
「月君?」
僕の名前を象った唇に僕の唇を重ねた。すぐさま舌が絡み合う。
「ん…」
離れた唇が濡れていた。そういえば、何時からか指を噛む姿を見る事が少なくなった。唇を弄るのは相変わらずだが、爪が欠ける程齧り血を流す指を見なくなった。
「爪、噛まなくなったね」
僕の頬に添えられていた手を取り、指先に口付けた。
「そう言えば、そうですね」
爪を噛むと言う行為は不安やストレスから来るものだと言う。癖がなくなってきた原因はきっと僕の思う通りだろう。Lへの想いが膨れ上がった。
「愛してるよ」
「私もです」
「…ずるいな」
鼻先を噛んでやった。可笑しそうに眼を細めるLが憎らしいけれど、まぁいい。放り出されたチューブを取り、手にたっぷりと絞った。意図を察して僕の上に浮かんだLの勃ち上がったものに手を絡めた。
「ふ、っ…」
呻きが漏れた。ジェルを塗り広げる手は緩やかに幹を上下する。鈴口に指先を掛け、爪を立てた。
僕の肩に顔を埋め、Lは荒い呼吸を吐き出していた。彼の耳に舌を差し入れる。舌先で穴を擽り、耳朶を甘く食んでいると、肩に噛み付かれた。
「痛い」
「愛してますよ」
「うん…」
やっと言ったLに笑みを向ける。降りて来たLの顔に手を添え、もう一度唇を重ねた。繰り返すキスの間、後口に熱いものが触れた。
「ん、ん、…」
ず、ず、とゆっくりLが入ってくる。侵入してくる熱で、彼がどこまで入ってきているか分かった。
慣れていても、圧迫感はある。彼が進む度に腹の中はLに占められていく。腹に手を触れた。Lの熱が僕の中を焼き、Lの大きさが腹を押し上げ、肌に触れたら僕の腹を盛り上げる熱い彼を感じ取れそうな気がしていた。だけど、実際はそんなことはあり得ようもなくて、自分の愚かな想像が可笑しかった。
「どうかしましたか?」
「?何が?」
「この状況で笑われるのは不本意なんですが…」
「あぁ、ごめん。何でもないよ」
「月君…」
「本当に何でもないんだ。ただ、Lでお腹がいっぱいだなって、…L?」
「…時々厄介です、月君は」
「え?」
「ほら、分かっていない。月君の言葉がどれだけ私に影響を及ぼすか、ご存じない」
Lの言葉が終わるとともに、一気に根元まで埋め込まれた。
「あぁっー!」
衝撃に耐える僕を気遣って動かさずに居てくれるけど、中のLがびくびくと蠢いている。
無意識に滲んでしまった涙が舐め取られた。ゆるゆると動き出したLの動きが徐々に激しくなっていく。それにつられて、僕の声が高く掠れていく。
「あっ、ああっ…」
ひっきりなしに漏れる喘ぎで閉じられなくなった唇にLの舌が潜る。引き出された舌に絡まる熱に、胸を弄る手も加わって、急激に高まった快感で頭の芯がぶれた。
「はっ、ふぁ…あっ…」
肩に必死にしがみ付いた。Lの熱い先端が前立腺を押しつぶし、幹で捏ねられる。突き入れる動きも激しくて、ヘッドボードに頭を打ち付けそうになると、Lの手が腰を掴み引き摺った。
Lの腹には筋が幾本も引かれている。雫を溢れ続ける僕のものが、揺さぶられる度に彼の腹を擦り跡を残していた。
「ごめ、L…。もうっ…」
「待って、ください。もう少し…」
前を擦られ、Lに絡んだ内壁がいっそう締まった。ぎゅうぎゅうと彼を締め付ける僕の肉を掻き分けて動き続けるLの眉根が寄っていた。腕を彼の首に回し、触れられる箇所に何度も唇を押し当てる。キスになっていない稚拙なものだったけれど、中のLが膨らみ、腰を掴んだ指が僕の肌に爪を立てた。
「月…!」
「あ、あ…」
体内で広がる熱が僕を焼いた。
行為に慣れた今も中に吐き出されたものを処理しないと、翌日が辛い。けれど、今日は特別だった。受精の仕組みはほとんど女性と同じだと聞いているけれど、ぎりぎりまでこのままでいたかった。
後から僕を抱く腕が腹を撫でた。
「また月君に似た子供だと嬉しいです」
「僕は君に似た子がいいな」
薬の効果はキラの時で保障済みだから、8ヶ月を過ぎた頃には家族が増えている。新たな妊娠はLを不安にさせたが、結局は説得に応じてくれた。
「私似の子供など可愛くありません」
「そう?結構、お前も可愛いと思うよ」
「あまり嬉しくありません」
いかにも嫌そうに言うLの言葉に笑っていた。
「…これから私が何も出来なくなるのが辛いです」
撫で続けるLの手に手を重ね、こつりと肩に頭を預けた。
「大丈夫だよ。ハリーも二度目の方が辛くなかったと言っていた」
「貴方とハリーは異なります」
「傍に居てくれるんだろう?」
「えぇ、ずっと傍にいます。何も出来ないですが、月君を一人で苦しませることはしません」
「ありがとう。だから、耐えられるよ」
「キラ、ミサ、話があります」
食事を終え席を立とうとした子供たちを呼び止めた。
「どうしたの、ダディ」
「8ヶ月を過ぎる頃に新しく家族が追加されます」
「パパ、本当!?」
頬を染めた月が嬉しそうに笑う。キラが抱き付こうとするのを、月の腰を引いて避けさせた。
「ですから、月君に勢いをつけて抱き付いたり、膝に飛び乗ったりすることを禁じます。それから、これから月君は体調を崩す事も多くなります。自分のことは出来るだけ自分でやるように。もちろん我が侭を言ってはいけませんよ」
「一番、我が侭なのはダディだと思うけど」
月に抱き付けなかったキラが膨れた頬を隠さずに言った。
「笑わないで下さい、月君。私も我慢しますから、二人も我慢してくださいね」
ミサの柔らかい髪に触れた。見上げた瞳が翳っているのは気付いている。きっとミサがそう言う反応をするだろうと、月が気に病んでいた。
「ミサ、貴方も姉になります。キラと一緒に弟を可愛がって下さいね」
「…いいの?」
前に繋がるはずだった言葉は分かっている。新しい子供が生まれるなら、自分はいらないのではないかと恐れているのだ。
「もちろんだよ。赤ちゃんもLも手が掛かるからね。僕を助けてくれる?」
「うん!」
頬を撫でる月を見上げたミサの瞳からは心配が消えていた。ミサの髪にキスを落とす月の顔に手を宛て引き降ろすと、ミサは月の頬にキスを返した。反対側をすかさずキラがキスをする。二人の子供からキスを受けた月は心からの笑みを二人に向けた。
「さぁ、ワタリさんが待っているよ。行っておいで」
扉近くで待機していたワタリの元に二人は駆けて行く。子供たちはワタリから勉強を教わっている。彼らの年齢には不相応なレベルだが、私と月の子供であるキラはもちろん、研究者を両親に持ったミサもワタリから教えられる知識を容易に吸収していた。弥と似た顔がキラの話について行くのを見るのは不思議なものだった。
扉を潜る前に私たちに微笑んで、子供たちに手を取られてワタリは出て行った。
「お前も捜査に戻ったら?」
腰を抱いたままの私に月が素っ気無く言う。
「嫌です。もう少しこうしてます」
「我が侭を言わないんだろう?」
「月君…」
するりと腕から抜け出して行ってしまった愛しい人を追いかけ、二人の仕事部屋に向かった。
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