Title:All Hallows's Eve
Author:ちきー
DATE:2007/11/25
Series:Death Note
Rating:NC-17
Category:Drama,AU,Romance
Paring:L/月、mention 月/L
Warning:slash,Sexual Situations,OOC-ness
Archive:Yes
Disclaimer:
ここに登場しているキャラクターの著作権はすべて集英社及び、小畑、大場両先生にあります。作者は楽しみたいだけであり、著作権を侵害するものではありません。また、この作品で利益を得るものでもありません。
Summary:
もはやL誕とは言えないですが…、「紡ぐもの」の一家のL誕です。

「ワタリ、お茶を頼む」

ようやく容疑者が捕まり、依頼を終えた。今回の依頼はたいした事件ではなかったのだが、捜査当局に配属されたばかりの新人が厄介だった。周囲に自分をよく見せようとスタンドプレーを繰り返した挙句、その全てが裏目に出た。彼が出し渋った情報のせいで、本来なら防げたはずの犯行が起きてしまった程だった。

そのお陰で私も2日間、端末の前で張り付く羽目になった。普段より過剰になったスィーツを多少費用に上乗せしても構わないだろう。

仕事部屋に月はいない。窓の外はこの国特有の霧が濃く薄暗い。時計を見れば、まもなく夕食の時間だった。彼はきっと食事の用意をしているのだろう。お茶が来たら二人で一緒に飲みたかったのだが、食堂に行ったほうがよさそうだ。

ワタリに変更を伝えようとインカムを繋げた瞬間、ぶつりと音を立て回線が切られた。同時に部屋の電気も消える。ほんの一瞬の暗闇の後、非常電源に切り替わった。すぐに屋敷内にある全ての監視カメラの映像を呼び出した。だが、どの映像も砂嵐だった。カメラだけでなく、その他のセキュリティシステムも沈黙。私がLとなって初めてセキュリティが破られた事になる。

机の一番上の引き出し奥にあるものを取り出した。いざという時のために入れておいた拳銃。黒いそれに手を伸ばす前に、拳を机に叩き付けた。仕事柄こんな状況を想定していなかった訳ではないが、ワタリと二人の時には感じたことの無い恐怖で震えていた手がやっとまともに動き出した。

廊下へ出た。仕事部屋から近い部屋を音を立てず順に確かめていく。私たちの寝室、子供たちの部屋にも人の気配は無かった。月も子供たちも護身術を身に付けている。それにも拘らず、全く抵抗の跡がない。手練れたものの仕業か。恨まれる覚えは、どれか推測がつかないほどあった。

汗ばむ手をジーンズの腿で拭った。これまでに人質事件に携わったことはある。動揺する人質の身内に、私は落ち着いて冷静に行動するようにと言った。だが、その当人になった私はどうだ。月が傷つくのが怖い。子供たちが傷つくのが怖い。冷静など。昔自分が言った言葉が、今の私に白々しく上滑りする。

ゆっくりと警戒したまま、暗闇の屋敷を移動する。リビングに差し掛かったところで、かすかな物音を聞いた。途中で途切れた子供の声も。開け放たれたリビングの扉から中を伺おうとした瞬間、パン、パン、と複数重なった破裂音が部屋に響いた。

咄嗟に扉の影に隠れた私が見たのは。

「サプライズ!」

明るくなった部屋でクラッカーを片手に笑う家族だった。

「誕生日おめでとー!…ダディ?」

力が抜け廊下に膝をついた私は、しばらく何も言う事が出来なかった。

「L?」

廊下に座り込む私に手を差し伸べた月を立ち上がりざま腕に抱え込む。身体中に触れ確かめた。

「おま、何して…!」

焦って囲みから抜け出そうとする月の動きを封じて、顔を覗き込んだ。

「怪我はありませんね?」

「怪我?なんで?」

「…心配しました」

それで察したのだろう。月の腕が私に回り、力強く抱き締められる。

「ごめん。お前をびっくりさせたかったんだけど、やりすぎたね」

誰より何よりも大切な人。彼の熱を感じ、彼の声を聞き、彼の匂いに包まれる。やっと、身体から緊張が抜けた。

「L」

いつの間にか私たちの傍にワタリが立ち、手を差し出した。

「あぁ、頼む」

腰の裏に挟んだ拳銃をワタリの手に預けた。

「ダディ?」

祝うはずだった私に異変を感じているのだろう。おずおずと子供たちが近寄ってくる。私は小さなエルを肩に放り、年長の二人を見下ろした。

「どちらが長くしがみ付いて居られるか競争です」

私の言葉にぱっと笑顔に変わるキラとミサ。両脚に飛びついた子供たちに、背中のエルが音を立てずに笑った。

キラが作ったケーキを食べながら、サプライズパーティの計画を月が話してくれた。

つい先程まで私の依頼が長引き、子供たちは随分心配したそうだ。もしかすると無駄に終わるかもしれないパーティの準備を、何日も前から私のために計画してくれた。…あの新人の刑事は警察官に降格するよう長官に伝えよう。

屋敷のセキュリティを切り、電気を落としたったのは月だった。私が構築したセキュリティは攻略のしがいがあったよと楽しそうに言った。

そして、私の驚いた顔で盛り上がる元・私の後継者たちは、遠慮なくハイピッチでボトルを空けている。彼らも今日は依頼を入れずに、プレゼントを携え集まった。私も彼らも誕生日を祝う習慣などなく育った。月と出逢う前、私の今日は昨日と明日それらと何も変わらないただの一日だった。

「L、ついてる」

子ども達より食べ方が汚いんだからと小言を言いつつも、それでも笑って唇の端についたクリームを拭う月。

「月君が食べさせてください」

祝う意味など知らず、そして、祝ってくれる人など誰もいなかった幼い自分の未来が、こんな様であるなど思いもしなかった。今日の恐怖が、ただのサプライズで心から安堵していた。

サプライズに成功したパーティは、エルが傾き始めたのを見て終わった。

含んだ笑いをする名付け親に手を引かれて部屋に向かう子供たち。リビングを出る前に、もう一度誕生日を祝ってくれた。

私は皿をまとめる月の傍に座り、彼が終わるのを待っていた。まだ彼を視界から出すことは出来なかった。後はやりますのでとワタリにやんわりと促され、私達も寝室へ下がった。

バスルームに押し込められ、月に洗われる。普段なら通らない我がままも、今日は月が許してくれた。

「誕生日おめでとう、L。本当に間に合って良かったよ」

ベッドの上でもう一度祝ってくれた月の上に跨る。

「ありがとうございます。プレゼントを頂いても?」

バスローブを月の身体から剥いでいく。バスで暖められた肌を舐めながら、彼を準備した。性急なのは分かっていたが、早く彼の中に入りたかった。

月も短い喘ぎを漏らしながら私を硬く育てる。お互いの手が動くたびに潤滑油の湿った音が繰り返された。

膝裏に腕を入れ、月の脚を持ち上げる。月の入り口を先端が突いた。

「月君」

了承の頷きを貰い、私はずっと身体を押し進めた。

「…っ、あぁ!」

潤滑油の助けで一息に彼の奥深くまで辿りついた。浮き上がった彼の腰を掴み、すぐに挿出を繰り返した。

私の頭に月の腕が回る。差し出してきた月の舌に自分のものを絡めた。ちろりと歯裏を舐められ、月の口に呻きを零すと、月の中が私を締め付けた。

「L…」

リズミカルに締め付ける月の中に、私は動きを止めて眉を顰めて耐えた。このままでは、すぐに彼の中に放ってしまいそうだった。

「っ!ライト、く…」

するりと月の指が私の中に挿し入れられた。男の快感に直結する腺を捏ねられ、月の中で一層体積が増した私のものがびくびくと震えている。

動きを止めた私の代わりに、月の腰が下から突き上げる。

「はっ…、う…」

噛み締めた歯から呻きが漏れた。

私は月に挿れてはいるが、月に愛されていた。強烈な快感の中で、それでも月に挿し入れれば中が締め付け、引けば指が私の中を刺激する。

あまりの快感で目蓋が閉じかかった。

「月、君。すみません、もう…」

「うん…。L、愛してる」

「…っ、ラ、イト…!」

絶頂へ押し上げる月の激しい動きに、私は彼の中に吐き出した。

脱力した身体は、彼の上に倒れ込んだ。私の呼吸が整うまで、月の手が髪を、背を撫でた。

「すみません」

彼の身体の横に肘を着き、身体を起こす。

「気持ち良かった?」

額に張り付いた髪をかき上げられ、額にキスを落とされる。

「はい、とても。あの…。月君、入れますか、私に」

私の腹を突付く月のものはまだ力を持っていた。だが、二夜続けての徹夜の後、私はすぐに回復が出来なかった。

「今日はいいよ」

「では、手で…」

「僕も充分気持ち良かったよ。今日はもう休もう?」

行為が始まって蹴落とされたシーツを、月が私たちの上に掛ける。呼吸が整った後、月の体温に包まれて、私が眠りに引き込まれそうになったのを、月は気付いていた。

「このままでもいいですか?」

「このままって、このまま?」

「えぇ」

ぐいっと彼の中に入ったままだった私を動かした。んん、と小さく身体を震わせた後、月は大きな溜息を吐いた。

「…今日だけ、だから」

「はい」

身体に腕を回し、月を抱き込む。耳の下からは彼の鼓動が聞こえた。

「月君、起きたら貴方を啼かせますから、待ってて下さいね」

宣言するようにそう言うと、腕の中の身体が笑った。

「誕生日おめでとう、L」

END