Bleachの物語ですが、ずっと昔の話で、オリキャラだらけです。

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この作品は原作者様・出版社様等は関係ありません。

As a note to English readers: this story is currently only in Japanese. I may at some point post my English TL of this story, but at this point there's no plans on it. Sorry for those who can't read it, but I just felt like writing in Japanese for this one. Please don't try to use an online translator then come back and tell me how bad my story is.

序章 「霊術院のお姫様」

尸魂界の五大貴族の頂点と言ってもおかしくない凍桜家。そこの長子として生まれた幼き嵐樺は前代未聞の神童とうたわれ、それ相応に崇められ羨まれ妬まれていた。そんな彼女は死神に成るべく半年前から真央霊術院に通い始めていた。

「ねえ、あの子でしょ?あの凍桜家のお姫様っての。」

嵐樺が帰宅のさい廊下ですれ違った四人組の方から小声が聞こえた。

「そうそう。そう言えば聞いた?卒業後護廷十三隊の入隊どころか席官の地位まで決まってるって。」

「ウソォ!?マジで!?イイよな~大貴族のお姫様どこまでも特別扱いで。入学だっていきなり最上級の六回生で一組に特別入学だったし。あんなガキが大した力あるわけないのに。」

「しっ!!あんた声が大きいよ!聞こえちゃうよ!!」

『下らないわ。最初から全部きこえてますわ。』嵐樺わそう思いもしながら、その四人組を無視した。

「あっ、凍桜!ちょうど良かった。今帰宅か?」そんな時、担任の松岡茂に呼び止められた。

密かに溜息を付きながらも、担任を無視するわけもいかず、振り向いた。「ええ、そうですが。何か私に御用でしょうか、松岡先生?」

「ああ、明日の一回生の実習指導の件についてだが、ちょっと良いか?」

「歩きながらで構いませんでしたら良いですが。今日は少々用事がありまして。」

「おお、そうか。引き止めてすまん。だったら単刀直入に話すな。」先生が並んで歩きながら話を始めた。「明日の現世実習の指導にお前の斬魄刀『雷光丸』の帯刀許可が降りた。」

「分かりました。お知らせ、有り難うございます。」嵐樺は表情一つ変えずに返事をした。

「… 何か不満か?」

「いいえ。」

「… お前に何も言わずに帯刀許可を申し込んだのは悪いと思ってる。だが、俺の立場からそうせざる得なかったんだ。」

「もし、私に相談しておられば、きっと私は特別許可は必要ありませんと申していた。その後、私が反対していながらも特別許可を申請されるの無理な故、私に相談せず申請致した。ですよね。」

「ああ、そうだ。お前は何よりも特別扱いされるのが嫌がるからな。勝手に申請したのはわるかったが、お前の担任として、明日の実習指導をお前に任命した者の責任として、お前を浅打のみで、素手同然で現世に送る訳にもいかんのだ。」

「先生の理由はごもっともですし、その事で私は怒ってなどいませんし、謝る必要などありません。一言言わせていただきますのでしたら、先生は一点勘違いしておられますわ。確かに私は特別扱いされるのを嫌っています。ですが、先生が仰っていました通りに、私の霊力の下では浅打など持ってもいないのと同然です。私一人ならともかく、生徒21名を指導し、守る立場上、万が一の事がありましたら、鬼道のみで虚を複数相手するなど、周りに危険が大きすぎます。そんな事を知らないほど私は愚かではありません。そして、それを知っていながら、下らない誇りを貫こうとするほど私は子供でも、意地っ張りでもありません。

「帯刀許可の申請及び許可のご連絡有り難うございます。では、私は先程お話しましたよう、用事がありますので、失礼致します。」嵐樺はそう告げて頭を下た。

その静かな言葉の裏に見える真の誇りと鉄の意思を瞳に秘めて去る彼女の姿を見ながら、松岡は思った。『ああ、そうか。そうだったな。この子は何よりも自分の責任を随一に考える子だった。この子は本当の意味で誇りと責任を理解してる。だから俺だって明日の実習指導を承認したんだっけ。』

「あっ、凍桜、ちょっと待ってくれ。」

再び、担任に呼び止められ、嵐樺は先生の方に振り向いた。

「まだ何か御用でしょうか?」

「ああ、その、すまなかった。俺はまたお前を見縊っていた様だ。一つ訊いていいか?お前は雷光丸が必要だって分かっていたなら何故自分で帯刀許可を申請しなかった?」

「いいえ、先生が私に謝る必要など御座いません。私の日頃の行いに原因があります。私が自分で申請しませんでしたのは、その必要がありませんでしたから。私が申請出来ます前に先生が申請されていましたので。」

「はあぁ、そうか。まあ、お前とその事言い争っても意味ないから、そっちに置くとする。あと、帯刀許可は降りたが、始解許可は別だ。それに限定霊印は今迄通り必要だ。それと昨期の生徒達には俺が注意しとくから。」

「いいえ、先生が注意なされば、噂は余計広がります。一々気にしてますと切りがありません。」

「だが、これでは、お前がー」

「私なら、気にしていません。これくらい、とうの昔に慣れていますから。では、今度こそ本当に失礼致します。」

彼女の小さな後ろ姿を見送りながら、松岡は少し悲しくなった。

嵐樺はやはりクラスの中でも浮いている存在だった。それは、他の者は皆一回生からずっと五年間一緒だったところに彼女がいきなり入ってきた所為もあるし、彼女程の能力に家柄があれば、嫉妬や羨みの的になる。だが、それと同じくらい彼女自身が皆から一歩身を引いている様だった。

あの出来事は彼女が入学して間もない日だった。

その日、嵐樺は五年一組の生徒六人にからまれていた。詳しい成り行きは両側とも黙ってはいたが、おそらく嵐樺の特別入学に対しての嫉妬が原因だったろう。

その時も、それ以降も嵐樺は何度からまれも、一切手を出さなかった。自分の身を守る為、縛道を使ったり、白打で攻撃を受け流したりしたが、相手に危害を加える事はなかった。

松岡はその日、五年生の処分を各担任に任せた後、嵐樺に何故手を出さなかったのか聞いた。嵐樺の力なら、生徒何人相手でも簡単に勝ていた。なのに、こんなに幼い子がそれを我慢して手を出さなかった事が不思議に思えた。そうしたら彼女は「もし、私が手を出していれば、大事になり、先生や父上様や色々な皆様にご迷惑をお掛けしてしまいます。私一人が我慢することで幅広い皆様にご迷惑お掛けせずに終わりますのなら、そちら方が良いと思いませんか。」っと言った。

それから三カ月ほど、何回も同じ様な出来事が起こったが。その度、心配する松岡に対して、「慣れていますから。」の一言で片付けてしまう嵐樺は彼にとって、とても悲しく想えてしまった。

そして今も、色々と強いられる中、誤解されても、静に毅然と対応しながら、何時も「慣れています。」の一言。