Title :ケーキ・オンザ・?
Author:ちきー
DATE:2007/10/31
Series:Death Note
Rating:NC-17+
Category:AU,Romance、L's Birthday
Paring:L/Light
Warning:slash,Sexual Situations,OOC-ness,Dom/Sub,Drug
Archive:Yes
Disclaimer:
ここに登場しているキャラクターの著作権はすべて集英社及び、小畑、大場両先生にあります。作者は楽しみたいだけであり、著作権を侵害するものではありません。また、この作品で利益を得るものでもありません。

Summary:
早朝に起こされた月。竜崎の意図は?

「…君」

体を揺さぶられている。強制的に眠りから浮上させられた意識が、僕を呼ぶ誰かの声を拾った。

「月君、月君」

「ぅ、ん……。うわっ!」

声は聞こえていても、まだ完全には覚醒していなかった僕に、いきなり冷たいものが浴びせられた。驚いて飛び起きた僕の目の前には、竜崎の顔のアップ。

「竜崎!」

「やっと起きましたか。月君、案外寝起きが悪いんですね」

「顔、近いから!え、えぇっ!?」

近すぎる竜崎の顔を突っ張った手で引き離した腕は何故か裸。ベッドに入る前にきちんとパジャマを着たはずなのにと疑問に思っていたら、腕どころか全裸で寝かされていた。慌てて隠そうとしてもベッドの上には何もない。改めて、竜崎の舐める様な視線に気づいて、膝を折って股間を隠した。

「な、なんで…」

「今日、誕生日なんです、私」

ずずいっと指を銜えた竜崎の顔が寄る。近すぎる顔に、思わず体を引いた。近すぎだから!

「は?今日?」

「えぇ、今日です。10月31日と言う事にしました」

「しましたって…。だからって、こんな朝早くに起こしたの?」

壁に掛けられた時計は、4時過ぎを示していた。

「祝って頂こうかと思いまして」

「……かなり大幅に譲って、誕生日を祝ってやってもいい。だけど、夜にしてくれないか。昨日も遅かったから僕は眠い。服を返せ」

昨日と言うかほんの数時間前まで竜崎に付き合わされて、ようやくベッドに入れたのに。話している間も、眠りに引き戻されそうになっていた。

「嫌です、今から祝って頂きます。それにもう始めてしまいましたから」

「…何した?」

嫌な予感がする。とりあえず全裸にされただけで体に変化はないようだけど。何か仕込まれたのだろうか。

「シャンパンを開けました」

指を差した先には、確かに高級シャンパンのボトルが転がっていた。

「僕が濡れたのはそれ?」

試しに腕を舐めるとアルコールの味がする。浴びせられたものが何か知ると、途端に体中がべとついている気がして眉を顰めた。

「こちらをどうぞ」

ベッドサイドには床に転がったものと同じラベルのボトル。泡が昇る琥珀で満たされたグラスを差し出された。

「いらない」

「飲まないなら、飲ませますよ?」

拒めば、竜崎は本当に飲ませるだろう。溜息を吐いて、グラスを奪い一息に煽った。グラス越しに、竜崎の笑みに歪んだ顔が気になったが、もうシャンパンは喉を通り過ぎていた。

「あれ…?」

グラスが指から落ちた。シーツに落ちたグラスを拾おうとしても、手足が重くて持ち上がらない。頭もふわふわしている。まるで自分の体ではないようだった。おかしい。酔うには早すぎる。

「効いてきましたね」

「何、が?」

「シャンパンに媚薬を入れました。月君のグラスには軽い弛緩剤も」

「僕のグラスにはって、まさかお前のにも…」

竜崎の手にある背の高いグラス。顔から血の気が引いていくのが分かった。竜崎とのセックスは、普段から濃いし、しつこい。僕にだって性欲はあるけど、竜崎のは明らかに可笑しい。今でさえ着いていくので精一杯なのに、竜崎までドーピングされたら…。

「や、飲むな!」

止めようとした僕に、にたーと笑って竜崎はグラスを煽った。

「楽しみましょうね、月君」

空になったグラスを振って言う竜崎に、ベッドの上を四つん這いになって逃げ出した。どんな姿を晒しているかなんて気にしていられない。けれど、まともに動かない体では、あっさり竜崎に捕まって引き戻され、仰向けに寝かせられた。抱えられた時、腰に当たっていた既に硬いものは夢だと思いたい。

「乾杯は済ませましたから、次はケーキですよね」

どこから取り出したのか、竜崎は苺のショートケーキのホールを片手に持っている。……付き合いの長さで、竜崎の次の行動が読めてしまった。

べちょ。

あぁ、やっぱり。体の上に落とされたケーキが疎ましい。

「月君、あーん」

何が、あーんだ。すっかり弛緩剤が体中に回った僕の手足は重く、ただベッドに横たわり、竜崎の好きなようになるしかない。睨みつけたら、顎を取られてケーキを差し込まれた。

「美味しいですね。あ、苺も差し上げましょう」

竜崎は僕の上に転がった苺を拾い上げ、齧った。

「少し酸味が強いですかね」

食べかけの苺を手にそんな事を言うと、胸元に散ったクリームに苺を潜らせた。

「っ、ふ…」

クリームの中を苺がするすると滑る。尖った乳首に苺が掠める度、噛み切れなかった声が漏れてしまう。いつもより感度が高くなっている僕の体は、小さな快感を何倍にも膨らませ、既に下肢はクリームの中でぴくぴく震えていた。

たっぷりとクリームに塗れた苺は竜崎の口に消え、クリームでべちゃべちゃになった指は僕の口に押し込まれた。行為に慣れた僕は、自然に含まされた指に舌を絡め、きれいにしていた。けれど、指は僕の舌を押さえて顎を降ろさせた。

閉じる事の出来ない口に、竜崎の口の中で崩れた苺が流し込まれた。

「ん、ん…」

苺を飲み込もうとしても舌が邪魔でうまく飲み込めない。苦しくて視界が滲み始めていた。

全部僕の中に流し終えると、そのまま舌が苺を追ってきた。僕の口内に移された苺を竜崎の舌が取り返す。そして、竜崎の口内に移った苺をまた僕に渡され、苺がなくなるまで移動は繰り返された。

「あ…、う、ん…」

ようやく離された唇は、重ねすぎて腫れているような感覚が残されていた。ようやく自由な呼吸を取り戻した僕の胸は、大きく上下していた。

「忘れてました。バースディケーキには蝋燭がないと」

そう言って取り出した細長い蝋燭を、体の上のケーキの塊に次々と立てていく。臍や胸、僕の弱い箇所に蝋燭が多いのは絶対わざとだ。

「蝋燭を立たせる場所がなくなってきました。仕方ないですね。略式で行きましょう。2桁目の蝋燭は大きくするんでしたよね」

にまりと楽しそうに笑って、さっきまで差していた蝋燭よりも太いものを取り出した。

「ここにしましょうか」

「やだ…、竜崎。そこは嫌だっ…」

鼻歌でも歌いそうな気軽さで、竜崎は僕のペニスが埋もれる山に太い蝋燭を立てた。

「さて、点火しましょう」

今度はライターを取り出し、火を僕の体に近づけた。本能的な恐怖で体が竦む。

「竜崎…。本気で…?」

「蝋が垂れても大丈夫ですよ。ちょっと熱いだけですからね。ですが、蝋燭が倒れてしまっては危ないですから、じっとしていてくださいね、月君」

手際よく蝋燭に点火していき、体の上には炎が増えていった。僕の限界を超えた状況だけど、僕は必死に吐く息すら詰めて、ただひたすら終わるのを待っていた。

「月君、歌を歌ってください」

「え…?」

「バースディケーキに、火を灯した蝋燭です。次はバースディソングでしょう?ほら、早くしないと蝋が垂れてきてしまいますよ」

竜崎の言うとおり、細い蝋燭は先端に蝋が溜まり始めていた。

「…Happy birthday to you,」

蝋燭に影響を与えないように、か細い声で歌い出した。

「Happy birthday to you,」

それでも胸の蝋燭が揺れ始め、数本傾いた。

「Happy birthday Dear 竜崎」

徐々に細い蝋燭からつぅと蝋が垂れ始めた。まだ焼かれていない。今のところ、蝋は全てクリームに落ちている。けれど、いつ肌に垂れるか、いつ蝋燭が倒れてしまうかと思うと恐怖で声が掠れていた。

「Happy birthday to you!速く、速く消して!!」

残りは詰まるように早口で歌った。細い蝋燭が短くなり、体に炎が近づく。太い蝋燭も蝋が垂れ始めていた。

「竜崎!」

遂にクリームの山が崩れ、太い蝋燭が倒れた。悲鳴の様に竜崎の名前を叫んでいた。

ふっ。

吹き消す音が聞こえ、瞑っていた目を開けた。続いて聞こえる音は、火の消えた蝋燭を掴んだ竜崎が、体の上を彷徨い蝋燭の炎を消しているから。

「ふっ…く…」

火の消えた蝋燭が体から取られ、やっと緊張が緩んだ僕は泣き出していた。竜崎とは体を繋げるし、その中には道具を使われた事だってあった。けれど、体を動かなくされて、媚薬も使われ、その上死ぬかもしれない危険を含んだプレイは、身体的にも精神的にも限界を越えていた。

「も、やだ…」

ぼろぼろと流れ出した涙を止められない。

「苛めすぎましたか…」

体を起こされ、竜崎に抱き締められた。竜崎にもケーキが付いたけど、気にする様子はない。髪やこめかみにキスを繰返し落とされ、宥めるように背を撫でられた。

「すみません、やりすぎましたね」

「僕も泣いてごめん」

顎を指で持ち上げられ、竜崎と視線を合わせられた。

「月君、最初に約束しましたよね。限界だと感じたら、セーフワードを使うと」

「約束した。…でも、今日は竜崎の誕生日だから使いたくなかった」

竜崎と付き合う様になった後、徐々にお互いの性癖を理解しあった。僕達にとって幸運な事に、竜崎はドム、僕はサブだった。

けれど、サブと言っても、自分にはその気質があると理解していたが、マスターを持つのは初めてだった僕に、竜崎は関係のあり方、プレイの楽しみ方を教えてくれた。セーフワードもその一つ。雰囲気を高めるため、嫌がることもプレイの一つになるから、嫌だ、止めろなど直接の否定の言葉は否定にならない。本当に行為を止めて欲しいなら、二人の間で決めたキーワードを言わなくてはいけなかった。

竜崎の口から溜息が漏れる。ゆっくりと僕に理解させるように話し始めた。

「月君、両者が楽しめないプレイでは意味がありませんし、私もそんなプレイは望みません。ドムがプレイも関係も支配しますが、本当に支配しているのはサブの方です。ドムはサブが望むものを正しく理解し、正しく与えます。私は貴方の限界を押し上げる行為もしますが、ドムは決してサブの嫌がることはしてはならない。セーフワードの使用をお願いするのもその為です」

ドムとサブとして改めて関係が始まった時に話された言葉を繰り返された。それは分かっていたけれど、今日はどうしても竜崎の好きな様にしてやりたかった。

「…ごめん、僕は誕生日を滅茶苦茶にしたね」

「気にしないで下さい。私も貴方の限界を誤りました」

誕生日なのに、気にするなと言う竜崎。また流れた涙を優しい唇が吸い取った。

「せっかくですし、ケーキを食べましょうか。月君にも気に入って頂けるように、甘さを控えめにして貰いましたから」

胸に付いたクリームを掬い、僕の口に入れた。甘いけど、シャンパンのアルコールも効いていて美味しかった。竜崎の好みはもっと甘さが強いものなのに。プレイは中断してしまったけど、せめて今からでも彼に楽しんで欲しい。

「弛緩剤の効果はどのくらい継続するの?」

「軽度のものですから、そう長くはないはずです。まだ動かせませんか?」

握ってくれた竜崎の手を握り返しているつもりなのに、指が微かに動いた程度だった。

「月君は薬の効きがいいようですね」

「じゃあ、竜崎にケーキを食べさせてあげたかったんだけど、竜崎が食べてくれる?」

胸に溜まったクリームを舌が掻き分けた。這わせた舌に硬さを感じ、その箇所のクリームをを繰返し舐め取った。

「あぁ、チェリーを見つけました。紅く色づいて食べごろです」

尖って震える乳首に絡むクリームを舐め、月の味が濃くなっても続けた。反対もクリームを擦り付けるようくりくりと摘み、噛み付いた。

「うぅ、んぅぅ…」

「月君も味わっているようですね」

体を逆さに重ね、月が泣き出しても萎えなかった私を彼の口に含ませた。喉の奥を開かせ私を全て含んだ月は、話すこともままならない。ケーキを食べ進める最中、思い出したように腰を振って月の口を犯す私に喜んでいた。重ねた体の隙間から見た彼の顔は恍惚となっていた。

胸を捨て、臍に移動する。臍の中まで入り込んだクリームをきれいに舐め取ると、転がっていた苺を拾い上げ、握りつぶした。ぽたぽたと紅い汁が拳から月の肌に散る。媚薬で普段以上に感度の高い体は、その小さな刺激にさえ体を奮わせた。

「ふっ、うっ!」

舌を止め、喜びに呻く月。頭を擡げていた彼のペニスの先端から雫が散り、クリームを流していた。

赤紫に充血する先端を力任せに握った。

「誰が止めていいと言った?」

「ふぁあああ」

謝罪の言葉と共に舌の動きが再開される。月の頭の横に膝をつき腰を振った私に合わせて、ずちゅずちゅと湿音が響いた。月の先端の孔に爪を食い込ませると、頬が窄まり私を強く絞った。

月の肌の上で、苺の果汁とスポンジを混ぜ合わせ咀嚼する。まるで月自身を食べている様な錯覚を覚えていた。薬が切れ動ける様になった月の手が私の腰を引き寄せ、ずっぷりと根元まで銜え込んだ。

「ふ、ぐ…うぅ…!」

臍の中に入り込んだ苺の種を壁に押し当てながら舐め取る。内臓を舐められている様な感覚が引き起こされ、潰れた月の嬌声が足元で聞こえた。私を含んだ口内が不規則に振動する。

「くっ…う…」

媚薬は私にも影響を及ぼしている。繰り返される強烈な刺激に耐え切れず、白濁を月の喉奥に叩きつけた。最後の一滴まで吸われたが、それでも私は硬いままだった。

ずるり、と熱い口内から引き抜いた私のものは、月の唾液でたっぷりと濡れそぼっていた。私の先端と月の唇の間で糸が引かれる。

「竜崎?」

喉元までべちゃべちゃにした月が、まだケーキは残っているのにと不思議そうな視線で見上げてくる。私は手の甲で彼の頬を撫で、上手くやっている事を伝えた。何も言葉は交わさないが、私の手に月が擦り寄った。

「そろそろ、こちらの口も食べて頂きましょう」

とんとんと口をノックすると、自ら脚を抱え、私の前に後孔を晒した。下肢に残ったクリームを掬い、後孔に挿し込む。解していないが、乱暴な挿入を好む月はすぐにそこから喜びを拾った。

「はっ、んんっ!」

いつもより口内も熱かったが、こちらも熱い。中の熱でクリームが溶け、後孔から流れ出した。

「すみません」

月は慌てて口を窄めたが、すでに流れていたものは止められず尻を汚した。指で流れを掬い取り、後孔に戻す。美味しそうに指を頬張った。

「まだですよ、月君。もう少し我慢なさい」

忍耐の足りない尻を叩き、残しておいた苺を掌に集めた。

「入れます。が、まだ食べては駄目ですよ」

一つずつ苺を指に挟み食べさせる。潰してしまわない様に、必死で締め付けをコントロールしようとする孔が健気だった。呼吸を浅く繰り返し、快感を逃そうとしている月に加虐心が湧き、たらたらと滴を零す月のものを扱いた。新しく涙を滲ませた月の瞳を舐めてやった。

「全部入りましたね」

全ての苺を頬張った腹がぶるぶると波打つ。指を捩じ込み、崩れた苺がないか探った。

「マスター…」

竜崎ではなく、マスターと呼ぶのは月の限界が近い事を示す。

「欲しいですか?」

待ち構えて開く後孔に先端を擦り付けた。ぱくりと口を開いて、喰い付こうとする。

「あ、ああ…」

「行儀が悪いですよ。月君、貴方らしくもない。差し上げる前に食べようとしないで下さい」

「すみません…。でも、マスター、もうっ…欲し…」

わざと大きく溜息を吐き、後孔に先端を引っ掛けた。

「…仕方ありませんね。では、存分に食べなさい」

一息に自分を押し込んだ。ぐちゅっぶちゅと中の苺が次々に潰れていく。

「ひぃ、あああ!」

崩れた苺の果肉が月の内壁を擦り、細かい種がざらざらと表面を摩擦する。喉を晒して嬌声を上げた月のペニスから白濁が飛んだ。

「あ、あ、あ…」

絶頂を迎えた月の強烈な締め付けに眉を寄せて耐える。彼が落ち着くのも待たずに突き入れ続けた。動く度に、月の体内で苺が潰され崩れる。その感覚が余程良いのか、月の顔は恍惚の極地だった。うっとりと快感に酔う瞳は虚ろで、閉じれなくなった口の端からは涎が垂れてシーツに零れている。

「ふ…ん…」

月の体を二つに折り、尻を抱えた。ぎりぎりまで引き抜き、上から叩き付ける様に月を責めた。私のものに引き摺られて内壁が捲れ、内臓のピンクを晒す。苺を擦り付けるように腰を回すと月の目が裏返った。

「あー!あ、あ!!」

先端を握る拳に狂った様に腰を突き入れる月。喉を押さえつけて、舌を出させた。ぶるぶる震えながら伸ばしてきた月の舌を絡めとり、引き入れた舌を噛む。

「ん、むぅ…!」

脚を抱えていた腕が伸び上がり、私の背を撫で頭に埋まった。頭を抱き寄せられ、より深く繋がる。肉を打つ、あからさまな音を立てる腰にも両足を回し、もっと深くとねだった。

じゅじゅと先端から滴を撒き散らす月のものを扱き、尖って愛されるのを待っていた乳首に噛み付き、貪欲に私を飲み込み続ける下肢を突き上げた。ベッドのヘッドボードに体を押さえられた月の喉に噛み付くと、獣のような悲鳴を上げて月が果てた。私も千切れそうな程の締め付けに逆らえず、月の中に白濁をぶちまけた。

私を抜き、だらしなく開いた月の口からは苺ミルクが溢れていた。指で掬って、月の唇に擦り付けた。紅い舌がちろりと出て、舐め取った。

「誕生日おめでとう、竜崎」

にっこりと美しく笑う月に返事も忘れて見入っていた。

END