首を傾げた彼女が、二度瞬きした。
腰のあたりに腕を回し、彼女の三つ編みごと、細い体をさらに抱き寄せる。
彼女はくすぐったそうに笑い、ゆっくり顔を近づても逃げなかった。
「リョーマくん・・・」
背中に彼女の手が回り、控えめに抱き返される。
ピピピピピピピピピピピピピ
途端にけたたましい音が耳元で響いた。
「!!!!!!」
シーツを握り締めて、飛び起きる。
目の前にはどうやら抱きついていたらしい枕。
またかよ・・・。
夢は願望とはよく言ったもんだ。
これがてぃーんえいじほるもんってやつだな、親父に言われるまでもなく。
シーツを放り投げて目覚ましを止めた。
・・・・はぁ。
夢見が悪いにしては、おかげさまで集中力も増して、絶好調。
6時まで、と決められた練習もあっという間に終わる気がする。
「おつかれさまでした、リョーマくん」
まったくこんな可愛い声して。
「ん」
綺麗に編まれた三つ編み、白い頬、細い肩、まったくイノセントな彼女がにこりと笑った。
練習量が違うにしろ、この蒸し暑い季節だってのに、真っ白な木綿みたいな印象は崩れない。
う。ちくりとしたのは多分良心。
まさかあんな夢に自分が出てるとは思ってないんだろうなあ。
別にこんなの普通のことじゃん。
とは思っていても、竜崎桜乃相手だとその常識は通じないのは容易に想像できた。
手をつなぐことだけで2ヶ月もかかったうえ、その後しばらく恥ずかしがって顔を合わせてくれなかったのを思い出す。
誰に隠すこともなく付き合ってるってのに、どうしてこう罪の意識をもたなくちゃいけないのか。
くそ。
でも、彼女は結構目敏いから、ポーカーフェイスは崩せない。
さりげなく目をそらして、ラケットバッグを持ち直す。
一応、本人に無断なわけだし、謝っておく。スイマセン。
直接言うなんてとても無理だから、せめて心の中でだけでも詫びておく。
今年に入ってから、どんどん夢の頻度は増している気がする。
夢ってのに責任を持つ必要などないのは分かっていても、こう回数が多いとさすがに現実世界にまで影響が及んできているわけで。
毎日くたくたになるまで運動して、よくあんな夢見てる暇あるよな。
キスどころじゃないことを純粋培養な彼女が知ったら、どう思うだろうか。
試しに反応を想像してみて、落ち着かなくなってきた。
横目でちらりと彼女を見ると。
ばっちり目があった。
どうやら俺は落ち着きがないようだ。
彼女の心配そうな目がじっと見つめてくる。
きゅっと唇に力を入れてるのも、やっぱりとても可愛い。
心配されていると思えば、それはそれでいいものだ。
「・・・リョーマくん、最近心配事ってある?」
そうきたか。
やっぱり彼女は目敏い。
「・・・なんで?」
こうなると何でもないふりを装っても、多分無駄だろう。
わかってても直球で返すわけにいかないからとりあえずトボけてみる。
「だって・・・」
「何?」
即座に答えたら、彼女は怯えたように目をそらした。
どうしてそういう反応するかな。
こっちの気もしらないで。
そうやって困るくらいなら、最初から言わなきゃいいのに。
「ねえ、キスしたいとか思ったことない?」
うわ、直球。
我ながらあまりのストレートっぷりだった。
彼女の反応を恐る恐る探ると、綺麗な横顔はうつむいたままだった。
「・・・・・」
そのままゆっくり歩き続ける。
無視かよ・・・。
あたりは暗い。周りに誰も人はいない。
「ね、キスしていい?」
「!」
さっと彼女が体を引く。反応の素早さにムッとした。
夢みたいに積極的、とは言わなくても、そこまで嫌がらなくてもいいだろ~。
「・・・・・・」
彼女はそのまま眉を寄せて、見上げてきた。
うっすら涙を浮かべているように見えて、一気に肝が冷えた。
まずい、怒った、かな。
「・・・何をすれば、いいの?」
え?
現実の高揚感は、夢とは比べ物にならない。
比較するだけの値打ちなんてない。
もちろん、夢の彼女もとても可愛かったけど、わざわざ比べるにも及ばない。
絶対だ。
「目を閉じてるだけでいいよ」
END
I know that Japanese language is very odd and strange.
You know web-translation will not be perfect.
for example
彼女の心配そうな目がじっと見つめてくる。
this means "She stared into his eyes with a concerned look.".
but Web-Translation worked like this
"The eye about which she seems to be anxious gazes."
sigh
sorry my poor english...
