それが、わたしのしあわせ twilightが消える頃 夜でもないのに 外は、波の音しかしなかった。それ以外は何も聞こえない。静かすぎて、この世界に自分しかいないような、そんな感覚を覚える。この感覚にはもう慣れた。実際に辺りを見回してもいつも隣にいるはずの人の姿がない。これも、もう慣れた。最初は戸惑ったけれど。外に出る。行くべきトコロは一つ。「シン」やっぱりここにいた、と云うと視線を移して「ルナ、」とわたしの名前を呼ぶ。瞳はわたしを見つめていても、心はどこか遠くにあることを知っていた。「そろそろ日が沈むね。…風邪、引くよ?」視線を戻す。戻すといってもどこを見ているのかは解らない。きっとシン自身も、解ってないと思う。だって、 「星を…」「星?」シンの心は「見せるって云ったんだ。」ここには、ないから「約束したんだ、レイと。 一緒に見よう、って。見せたかったな……。 一緒に…見たかったな…」「・・・・・・そうだね。」シンは、今でもレイを誰よりも想ってる。多分わたしじゃ…ううん、絶対誰だってシンの中でレイ以上の存在になれる人なんていない。もし…もしも、レイが生きていたりしたらきっとシンはわたしのことなんか忘れてレイのところに行ってしまうだろう。レイがいなくなってしまった日からずっと、シンはわたしにすらレイの面影を求めてる。でもね、わたしはそれでも、いいよあなたの一番になれなくても、いいよ少しでもあなたが辛いことを忘れて安心できるなら家族に、なれるなら。今はまだ、全然そうとは云えないけれど。だけど いつか、いつかきっと形だけじゃなくて、本当に心から安らいでくれるように、心のよりどころになれるように 支えるから。あなたが少しでも元気になれるようにいつも 笑顔でいるから。だから……――――― 「今日は、」 「ん?」「今日は月が出ない日なんだ」「へぇ…」「そういう日っていつもよりよく星が見えるんだ」「そうなんだ」二人で暫く、海を見ていた。会話はほとんどなかったけれどわたしは別段気にならなかった。太陽が沈みかけてる。トワイライトとは、こんなにも人を切なくさせるものなのか。と、膝を抱えながら思った。東側からうっすらと暗闇がやってくる。このままここにいたら、なんとなく、シンを連れて行かれそうな気がした。わたしは立ち上がる。そういえば、今日のスカートはお気に入りのものだった。白のロングスカートには潮の香りが染み付いた砂がビッシリ付いている。あわててそれを掃おうとするわたしをみてシンがくすり、と笑う。その笑顔をみて、胸が苦しくなった。「ボーっとみてないで、後ろ、掃ってよ。」ハイハイ、といいながら立ち上がってスカートの砂を掃ってくれた。帰ったらこのスカートは即効洗濯しなくては。シンの手がスカートから離れたのを感じてわたしは歩きだした。ふわり、とスカートが揺れる感覚。ザフトにいたころはミニとかパンツとか動きやすいものを履いていたけど最近はこの感覚が好きでよくロングスカートを履いている。それに、なんだか気持ち的に大人になって気分がするし。わたしの後ろをトボトボと一定の距離を置いてシンがついてくる。この距離は、きらいじゃない。「あの話は、初めて聞いたわ」「どの話?」 「星の話。 月が見えないと星がよくみえることも ・・・・・・レイと約束してたってことも。」「そうだっけ」「そうよ」昔の恋人の話をされるのは嫌だという人のほうが多いだろうけどわたしはシンがレイの話をするのは嫌じゃない。 …そりゃぁ、時々そこまで云わなくていいわ、と思うときはあるけど。それでもわたしはシンが自分のことを他の誰でもない、わたしに云ってくれるのが嬉しかった。「ルナ」 「何ー?」「…ゴメン」わたしたちの声と波の音以外は何も聞こえない。 "ゴメン"という言葉が妙に耳に響く。さようなら、と云われたくらいに哀しかった。「何云ってんの~! あたしがいないとなにもできないくせにっ。 …もっと甘えなさいよっ」「ルナ…」シンのお腹に軽くパンチを食らわす。こんなときでもこんな態度しかとれない自分が憎らしい。涙は見せない、と誓った。泣いたら負けだ、と最後まで笑いぬいたらレイに勝てる、とわたしは勝手にレイと勝負してる。わたしが勝ったら、一瞬でもいいからシンの心をわたしにください、と。風が冷たくなってきたのを感じた。ついでに、お腹もすいてきた。「帰ろ?お腹空いちゃった」そういって、シンの手をとった。シンの手は暖かくて、確かにここにいるのだと訴えかけられてるような気がする。気がするだけだけど。だけど、それが わたしを安心させてくれる。「うん、帰ろう」そうして、 握り返される 手。 あぁ、また 泣きそう。いつもの場所から家に帰る時は必ず時間がかかる。それはきっと一歩一歩、繋いだ手の温もりを確かめながら歩いているからなんだと思う。会話はない。だけど、わたしはこの時間が何よりも好きだった。太陽の姿はもう見えないけれど西の向こうにかすかに光が見える。「ねぇ、シン」波の音の間に響く声は、シンにどう聞こえているだろう。「あんた今、幸せ?」わたしはシンの顔を見るつもりも答えを求めるつもりもなかった。だけど、いつかきっと、わたしが望む答えをわたしと同じ答えを云って欲しい「あたしは、すんごく幸せっ。」シンのわたしの手を握る手に、力が込められた気がした。東の空には、 キラキラ光る月より眩しい 一番星。

end

I would like to try and write lemons in eng lish with rey and meer as the pairing but please review first