免責事項:「ワンピース」は尾田栄一郎の作品です。

サンジはずっと誤解をしてた。

世界には三種類の人間がいると思っていた。

女性、普通のやろう、そして変体オカマ。

でもいろんな種類の女性(サンジにとってはみんな美しいけど)みたいに変態オカマにも種類がある。それに気づくのはちょっと時間がかかった。なぜなのかは理由がひとつ。あんまりかかわりたくは無かった。彼は女性のために生まれてきた人間ですから、そんなくだらないオカマ野郎なんか考えたくも無かった。

ルフィのクルーの仲間になってもサンジの目は麗しいナミさんとビビちゃんとロビンちゃんだけでした。残りのくそ野郎ども(その他)の相手は全然しなかった。

麦わら海賊団がバラバラになるまでは全然考えてなかった。

サンジが飛ばされた島はなんとオカマがぞろぞろ住んでいる、地獄のような場所だった。こんなところで二年間も住まなきゃいけない、と思うだけで目眩がし始めていたかわいそうなサンジ君。

美しい女性は一人もいない。いるのはひらひらなドレス、高いハイヒール、お化粧の濃いもじゃもじゃ野郎ばっかり。挙句の果てサンジもドレスを着る羽目に。

でもある日、サンジはこの島でたった一人の「まともの野郎」を見つけたのだ(自分以外)。サンジは感激した。やったまとものやつと会話できる、ちょっとはましな二年間になるそう、と思っていたのが間違いだった。

彼はゲイだった。

ここでサンジは気づいた。世界には二種類の「普通じゃない」男がいる。

オカマとゲイ。

似ているけどまったく違う。

ここの世界のオカマは男らしさはぷんぷんしてるのにそのうえに綺麗なドレスを着たり、お化粧をしたがる。弱弱しく小指を立てているとこが腹を立って仕方が無いサンジ君。女に近づきたいとか、近づきたくないとかどっちかにしろ!、とここに叫んでいた。

でもこの島中にオカマがいっぱいいるのに(サンジは断じて違う)ゲイはたった一人。そう、エヴァ様が言ってた。オカマはどこにでもいるけど、ゲイはまるで幻の宝のようだ(そうか?とサンジが生意気に言ったので殴られた)。ゲイは普通の男に見える。ひらひらのドレスとか女らしいことは絶対しない。動きもしぐさも本当に男らしい。ただひとつ、ゲイと普通の男の見分けがある、とオカマバッカ国の王女様が言った。

ゲイは女性の興味を一切持っていない。

そんなこと考えられないサンジだった。女を嫌う男!?どんな野郎だ!?アホか、そいつは!?そんな野郎には絶対気が合わない、いや、会うわけがない。この地獄のような二年間を過ごしたあとはもう二度とオカマとかゲイとかは会いたくもない、と心に決めていた。

しかし二年間の間、「普通の男性からオカマを見分ける」恐ろしい技を身に付いてしまった。

そしてその技で長い間に航海した仲間の中にゲイがいると判明してしまった。

二年後みんなワイワイと再会し、その勢いで人魚島へ向かいました。久しぶりの再開なので、ルフィはいつもの楽しい宴をし始めた。お酒は出るは、音楽はなるは、美味しいお料理は出るは、とてもにぎやかな宴会だ。

そこでぽつんと座っていた剣士がいた。彼の名はロロノア・ゾロ、「海賊狩り」という異名を持った有名な野郎だ。ゆっくりと腰をかけて一瓶のお酒を飲んでた。二年間の間すっかりイメージが変わっていた。ゾロは片目になっていて、髪の毛がちょっぴり長く、ふわふわと風に流されてた。サンジは緊張たっぷりに近づいた。

気配を感じたみたいで、ゾロはサンジのほうへ向いた。

「なんだ」

サンジは息を呑んだ。「お前・・・」さすがに敏感なゾロ、会話がいつもと違うとわかったみたいでなんとなくそわそわし始めた。

「間違ってたらぶん殴ってもいいぜ。覚悟はしてる」

「だからなんだ?」

「お前・・・ゲイか?」

突然の沈黙。そりぁなるわ。並みの男だったら絶対に訊かれたくない質問だ。はずれか、と安心してたサンジだがその次の瞬間に見てしまった。ゾロの顔がみるみると赤くなっていた。赤面になっていると気づいた彼は何とかして隠そうとしている仕草がなんか・・・

かわいいな、と小さくつぶやいたサンジ。

実は自分もゲイだと気づいたのはこの先のこと。

終わり