免責事項:「ワンピース」は尾田栄一郎の作品です。
サンジが自分の机に向かうといつも彼がいた。名前はロロノア・ゾロ。学校では有名な不良だ。いつも授業中居眠りばっかりしてて、起き上がったと思ったら放課後の時間だった。ゾロにとっては学校は剣道の技を磨ける場所だった。でもなぜか彼の成績は以外と高いほうだ。理由はサンジだった。
「よ」とゾロが笑顔で呼んだ。サンジはがんばって不機嫌な顔をしてゾロを睨んだ。
「何だよ」
「『何だよ』、てお前分かってんだろ?」実はサンジは等に知っていて、もう手はかばんの中に突っ込んでいた。出したのは数枚の紙。今日の宿題だった。
「ほらよ」
「おう、ありがとよ」ゾロは静かにつぶやきながらサンジの宿題を取った。「一時間目の前には絶対に返す」
「はいはい」サンジは言ったがもうゾロはクラスを出た。そのあとサンジは机に座って自己嫌悪をし始めた。
「あーあ、またあげたのかよ?甘いなサンジは」振り向いたら友達のウソップがいた。
「うるせぇ。てめぇもあいつに訊かれたら絶対やってると思うぜ」
「お、おれはあいつのことが苦手だ。だ、だけど・・・・・・」
「・・・・・・だけど?」
「お前のはちょっと・・・・・・な、なんか喜んであげてる感じだな」サンジはがんばって顔に出さないようにしてた。いつもはみんなのようにゾロを嫌っている風にしているけど、本当はまったくの逆。そう、サンジは実はゾロに惚れていた。
「あいつ結構しつこくねぇか?毎回毎回宿題を頼みに来てよ。まるでてめぇはパシリだぜ」
サンジは不機嫌になった。「そ、そんなんじゃねぇ!」
「じゃ、なんでやめないんだ?お前だったら絶対にもうあいつを蹴散らしてるぜ」
「まぁ、そ、そうだけど・・・・・・」最初サンジは腹立っていた。女性が優しく、ちょっと体をくねらせながら訊いたらサンジは絶対に毎日べろべろな顔で従うけど、なぜかゾロ、野郎に、すんなりと宿題をかしてあげてた。
ウソップが突然ニヤッと笑った。「ちょっとからかったら?」
「か、からかう?」
「まぁ、交換条件みたいな感じ。明日あいつがまた宿題のことを頼みに来たら、ものすごくでたらめな条件をつけるんだ。それだったらあいつも戸惑うよ」
「ふーん、時々いい事を言うんじゃねぇか」と言ったが、ウソップの思っている考えとまるっきり違う方向へ行っていた。
次の朝、サンジは一足早く学校に着いた。まだ誰も来ていない。いいチャンスだ。ゾロも学校に来るのが早いタイプだ(学校が嫌いなくせに)。数分窓で外を眺めていたら、あのトレードマークの緑色の髪の毛が見えた。胸が突然どきんどきん、とうるさくなり始めた。
普通はゾロが先に来ているから、クラスにもうサンジがいたときゾロの目がちょっとだけ大きく開いた。
「早いな」
「うん、ちょっとね」
―みんなの前ではやりたくない理由があるんだ・・・・・・
ゾロが手を差し伸べた。サンジがクスッと笑った。
「その前に、ちょっとやりてぇことがある」
「え?」
「交換条件だ」
「・・・・・・いつもやってねぇくせに」
「変わったんだよ。パシリの役は飽きてきたんだ」かばんから宿題を出してゾロの顔の前にピラピラと扇いだ。「ほしかったらおれの言うことを聞け」
ゾロが苦虫を噛んだような表情を作っていた。でもゾロは宿題をやっていない。このままじゃ先生に怒られて、大切な放課後の時間を削って宿題を終わらせる羽目になっちゃう。「・・・わかったよ。で、なんだその『条件』は」
サンジが自分の唇に指を当てた。「ここ、キスして」本当はサンジはキスしてほしい。でも、もしゾロが普通の男だったら絶対にキスをしないだろう。多分このあとはもうサンジの前にも現れないかもしれない。(もともとはそういう作戦だったけど(ウソップの))。
一か八か。
ゾロが教室へ出て行く音を聞くかと思ったら想像もしなかった音を聞いた。
ちゅ、と音が聞こえた。そして唇の上にやわらかいものが当たっていた。すぐにゾロの唇だと分かった。自分が命令したくせに唖然となってしまった。離れる前に、ゾロがサンジの唇をペロッとなめたら、サンジの体が溶岩のように熱くなった。
ゾロとサンジの目が合った。彼は照れたように微笑んだ。
「もらうぜ」そう言って、ゾロはサンジの宿題をもらって出て行った。
この日からサンジとゾロの関係が少しづつ近づき始めました。
終わり
