コスプレのまね妖怪

<作品概要>

タイトル: 「コスプレのまね妖怪」("Boggart In The Cosplay")

カップリング: リマセブ(?)&ハリドラ

警告: ルーピンが大変な変態です。リーマスファンは読まないことをお勧めします。

お題: LiveJournalのawdtコミュニティのお題から"But it didn't have anything to do with sexy"(「でもセクシーとは無関係だね」)

補足:原作第3巻第7章の場面参照。

さらに補足: ぶっちゃけOMEGA-2Dさんのスネイプ受同人誌マンガが元ネタです。そこではルーピン先生がネビルを使ってまね妖怪にアンミラの制服を着せるのですが、自分としては大喜びの反面「あー、もっとスネイプのコスプレ見てぇえええ!」と思ったので、そんな気持ちを文字にしてみました。


「リ…リ…、リディクラス!」

ネビルの叫びとパチン!という音が響き、"まね妖怪"のスネイプ先生は姿を変えた。野暮ったいロングドレスを身にまとい、ハゲタカが載っかった帽子と真紅のハンドバッグを添えられた姿だ。

歓声と爆笑が教室じゅうにはじけた。

「すごーい!」

と叫んだのはラベンダー。

「やったな!」

と手を叩いたのはシェーマス。

「しかしセクシーさに欠けるな」

と考え込む様子でつぶやいたのはルーピン先生だった。

生徒達が首を傾げて視線を送るなか、ルーピンは杖を振ってまね妖怪を洋箪笥に閉じこめた。

「ふむ…そうだな。ネビル」

ルーピンはひとつ咳払いした。

「きみにこの話は何だが…今も定期的に聖マンゴ病院を訪れているね?」

「あ…はい」

ネビルは消極的な小声で答えた。

「よし」

ルーピンは告げた。

「じゃあ、あそこの看護婦の制服はイメージできるかな?」

「できます、先生。もちろん」

「よろしい」

励ますようにルーピンは頷いた。

「今度はそれを試してみよう。いいかい?」

ルーピン先生は杖を取り上げ、洋箪笥の留め金を外した。洋箪笥の扉が勢いよく開き、スネイプが進み出てくる──

「リディクラス!」

ネビルが叫んだ。パチン!

そして、そこには清潔な純白の看護服──膝丈のエプロンドレスにストッキングとサンダル、もちろんナースキャップ付き──を身に付けたスネイプが立っていた。

「よしっ!」

ルーピンは歓喜の叫びを上げていた。

「やっぱりセブルスには白が似合うなあ!」

が、鉤鼻の看護婦が戸惑った表情を見せるのを素早く察知すると、ルーピンは杖を取り出し、手際良くまね妖怪を再び洋箪笥に押し込めた。

「素晴らしかったよ!」

ルーピン先生はネビルににっこりと微笑んだ。ものすごい上機嫌だ。

「ところで…きみが応援しているクイディッチ・チームはどこかな?」

「え…、特にないですけど…」

突然の話題転換について行けず、ネビルは口ごもる。

「それは残念」

ルーピンは肩をすくめた。

「まあ、ここはひとつチャドリー・キャノンズといこうか。あの明るいオレンジ色のチームカラーがいいねえ。チアリーダーのコスチュームもなかなか可愛いし。そうは思わないかい?」

「チアリーダーの服まで覚えてません!」

「まあまあ」

ルーピンはローブの下から『クイディッチ・イラストレーテッドUK版・チア特集号』を取り出すと、ページをめくり始めた。

「ここにいい写真があるんだ。こいつをきみの脳裏に焼き付けてくれれば…」

「あのー、先生?」

パーバティがおそるおそる声をかけた。

「私たちもそろそろ練習した方がいいんじゃ…?」

「あとだ!」

一喝すると、ルーピンはネビルに慈愛に満ちた笑顔で振り向いた。

「よろしい、では始めようか」

そしてガタガタ音を立てる洋箪笥に杖を向けた。

「おっと、ポンポンを忘れないように!」

再度「リディクラス!」とパチン!が響き、そして教室じゅうから上がったうめき声が続いた。今やみんな、目にも鮮やかなオレンジ色のチアコス──腹部まる出しのタンクトップに恐ろしく面積の少ないミニスカート、両手には派手に輝くポンポンのチアリーダー・スネイプという視覚テロの犠牲者だ。

「いよっしゃあああああ!!」

ただ一人、ルーピンだけが陶酔しつつ吠えまくっていた。

「イイ!イイよコレ!!なんでセブルスはこういうの着てくれないのかねえ、こんなに頼んでるのに!」

そしてルーピンは、まだ目を白黒させているネビルに向き直った。

「よし、いい感じだぞ!さてさて、ネビルくん…」

ルーピンの瞳は期待で輝いている。

「きみ、『メイドさん』って興味あったりする?」

「なんか、この先どういう授業になるのか知りたくないんだけど…」

ロンはつぶやいた。

「そう思うだろ、ハリー…ハリー?」

ロンは周囲を見回した。そしてそこに見たのは、『ドラコ・マルフォイが一番怖い』奴がどこかにいないか、クラス中を必死で探しまくる親友の姿だった。