タイトルは:裏の絆
裏というのは、ナルトの漫画のシリーズにつながってる話ですが、裏話と言うわけで、あのクラスでカカシ班に
なってから絆が生まれたのではなく、それについての裏話という事でこのタイトルにしました。
実は'絆'というタイトルだったのですが、そのあとすぐにナルトの映画'絆'がでたので、すこし変えました
あらすじ:
最初のプロローグにはサスケは出てきませんが(すいません)、この小説の設定はナルトとサスケの子供の頃の話で、出会った時の事とか、二人の友情の話です。もっと前から出会っていて、信頼や友情がどう強まり、引きちぎられ、あのカカシ班に入るにのまでのナルトとサスケの関係があったのかを教える、絆の深い裏話です。
裏の絆~1~
~第一話~
一年経った後も、ナルトは忍者アカデミーに通い続けた。新しい年が始まってクラスが変わり、違う人達とクラスメイトになる日を迎えた。
クラスに入ったナルトは誰ともしゃべらず、並ぶ机の空いてる席に座った。
もう期待をするのは飽きた。友達を作ることも諦めていた。結局最後には、いつもと同じ結果になるのが分かりきっている。
まだクラスに入ってきていない生徒が半分以上いた。外で親や先生と話しているのだろう。ナルトには一生縁の無い事だ。
その時、クラスに入ってきた一人の生徒が多人数で話している人達を避け、一人で座っているナルトの隣りの席に着いた。
カラスの羽のような黒髪と雪のような白い肌に、落ち着いた表情。
そんな子が一人ぼっちで座っているナルトを気にかけた。
「おまえ、なんでいつも一人なんだ?」
彼はナルトに問いかけた。
話しかけられたナルトは振り向き、一目で誰だか分かってすぐに目をそらした。ナルトは無視する事を選んだ。
アカデミーの中で一番の人気者、うちはサスケ。
どの女の子でも好きになるような整った顔立ちで、 きれいな肌をしたサスケ。
その上優秀で、苦手なものなどないサスケには全て 揃っていた。
―全部オレと正反対…
「おい無視すんな、ウスラトンカチ。」
腕を組んで 座っていたサスケは、ナルトを見て言った。
「そういう言い方すんな!」ずっとサスケに背を向けていたナルトは急に立ち上がり、サスケに向かって叫んだ。
確かにナルトは何をしてもうまくいかなかった。
無理もない…他の子供達みたいに、見習えるような大きな背中をもつ存在なんてナルトにはないのだから。
クラスはしーん、と静まり返った。注目はまたもやナルトだ。
皆、サスケに向かって叫んだナルトに驚いていた。
誰もサスケに叫んだりはしないのだから。
しかし、一番驚いていたのはサスケ自身だった。
'ウスラトンカチ'とは言ったが、悪気なんてまったくなかったのだ。
「ナルト、このバカ!サスケ君に向かって叫んだりしないの!失礼じゃない!」
サスケを真っ先にかばったのはサスケのナンバー1ファン、山中いの。
「うるせー!オレをバカにするためだけにオレに近づいたのなら、もう二度とオレにかまうんじゃねー!オレに話しかけてくんな!テメーみたいなやつなんか死んで地獄に落ちやがれ!」
言い過ぎた。自分でも分かってる。
でもナルトに後悔なんて無かった。
加減をする事 を知らない、常識も知らない。
度が過ぎてしまうのも知ったものじゃない。
ナルトは何も知らなかった…
どうでもよかった。
「「ナルト!」」
いのだけじゃなく、新しい担任のうみのイルカも叫んだ。
―この先生もオレを知っている…
初めて会うのに、名前を呼ばれた。
先生へ向けるナルトの視線は、 すぐに冷たくなった。
ナルトを知らない人はいなかった。
叱ったイルカ先生を、ナルトは睨み付けた。
反省の色一つ顔に出さず…
「二度とそういう言葉遣いをするな!廊下に立ってろ!」
「望むところだ! こんなクソヤローの隣りに座るくらいなら、そっちのほうがマシだ!」
サスケを指さし 叫び返したナルトは 、ドアを激しく閉めて窓ガラスを振るわせ、クラスを出て行った。
ナルトは休み時間になってもサスケに謝らなかった。
「先生、オレが悪いんです。」と、サスケが言ってナルトに謝ったら、ナルトはいい子ぶってるサスケが気に食わず、一言'死ね'と言ってそれっきり口を開こうとしなかった。
イルカ先生はそんなナルトを一日中職員室の個室に留まらせ、ナルトは学校が終わるまでふてくされながらそこで待った。
放課後、イルカ先生が部屋に入ったらナルトは部屋の隅に座ってじっとしていた。
しかし反省の色は無く、イルカ先生はため息をつきながらナルトの前にしゃがみ込んだ。
「ナルト、なんであんな事言ったりするんだ? サスケはお前に謝ってたのに。」
ナルトは 顔を上げない。
「もうちょっと普通の子みたいに明るくしてたら友達だって作れるんだ。今度からそういう態度をとりなさい。先生の言ってることが分かるか、ナルト?」
その時初めてナルトは顔を上げた。話すつもりは無かった。でも憎むような目で、ナルトはイルカ先生を鋭く睨んだ。
「'普通'ってなんだよ?」
ナルトは'普通'の意味なんて知らなかった。 何をしても'普通'として 誰にも受け入れてもらえないナルトには、普通の事なんて出来るわけがなかった。
「センセーはオレのなにを知ってるってんだよ…」
明るく振舞って他の人たちと話したり、努力して友達を作ろうとして、 無残な結果を味わったのをナルトは思い出した。
何をしても無駄だと、諦めるようになった。
―'オレのなにを知ってるってんだよ…' そう思ってしまうのも仕方の無い事だ…
「とにかくだな、もうそういう悪い言葉遣いは二度と使わないように!」
イルカ先生はそう言い放った。
「もうそう言う言葉遣いは二度と'先生'の前では使わない。」
ナルトはそう言い直して、約束した。
イルカ先生はため息をつき、ナルトへの説教を諦めた。
「じゃあ、もう帰っていいぞ。」
イルカ先生はくたびれた声で言った。
ナルトは立ち上がり、鞄を取りに行くため教室へと戻った。
クラスのドアを開けたら、生徒がまだ一人残っていることにナルトは気づいた。
辺りはもう夕焼けの光で赤く染まって いるのに、机の上に座って 夕日を浴びながら窓の外を眺めている生徒が一人。
うちはサスケだ。
ドアが開く音を聞き、サスケは振り向いた。
「やっと来た…」
サスケは机から飛び降り、背筋を伸ばした。
「テメー、まだいやがったのか。言っとくけどオレはぜってー謝んねーからな。だからさっさと消えろ。」
「ちゃんと…謝りたかったんだ。本当に悪気はなかった。」
サスケは 睨んでくるナルトを、真剣に見つめた。
「だからオレはテメーみたいなやつが大っ嫌いなんだ!オレはテメーらとは違って「ごめんね」、「良いよ」、で済むバカバカしい馴れ合いがムカつくんだよ! 」
ナルトが キレた。
そしていったん怒り出したら 歯止めがきかなくなり、言葉が次々と零れ出した。
「本当に自分が悪いと思ってなくても謝ったら全てよし、本当に許したわけじゃなくても許せば全てよし、みんなそうやっていい子ぶりやがって!何やっても謝れば許されるなんて思ってやがんのが腹立つんだよ! そんな連中がみんなこの世から消え去ればこの世界ももっとマシになるのにな!今のこの世は腐ってんだよ、テメーらみたいなやつのせいで!」
サスケはナルトの言葉に衝撃を受け、目に涙が溢れた。
一度大きく息を吸ってナルトは少し落ち着き、声の音量を少し下げてから サスケに話し続けた。
「そして泣いたら優しくしてもらう?気にかけてもらう?なんだそのクソみたいな馴れ合い。泣けば慰めてもらえるなんて思ってたら大間違いなんだよ、バカヤロー。そんな弱いやつなんて死ねばいいんだよ。」
この時、イルカ先生はクラスに忘れた書類を取りに行こうとして、閉じてあるドアの外に立っていた。
ここまで話を聞き、ナルトを止めるべくドアに手をかけた。
「どこで…そういう言葉遣いを覚えてくるんだ?」
サスケは涙を拭い、そう聞いた。
慰めてもらおうと、許しをもらおうと涙が出たのではない。
何故かナルトの叫びの中に、泣きたがっているナルト自身を感じて、知らず知らずに代わりに涙を流していた。
サスケの質問に、イルカ先生の手が止まる。
実はイルカ先生も気になっていた。
「知ってどうすんだよ?」
ナルトは聞き返す。
サスケは静かにナルトの答えを待った。
だんまりをきめこむサスケを見て、ナルトは苦笑いをした。
「そんなに知りたいか? なら教えてやるよ。みんなオレのことをバケモノだと思ってオレに近寄らねーんだよ。」
イルカはその言葉ですぐに 分かった。
しかしサスケは意味が分からず、混乱している ようだ。
「それとこれとどういう関係が―?」
「なあ、言葉の通じるバケモノを見たらテメーはどうする?」
ナルトは暗い顔に薄笑いを浮かべながら聞いた。
そのなんとも言えないナルトの表情を見て、サスケは少し怖気付く。
そんなサスケを無視し、ナルトは続ける。
「怖くて、気持ち悪くて、見たくも近寄りたくもなかったらどうする?」
「し、知らな―」
「「地獄に落ちろ!」「テメーみてーなバケモノはさっさとくたばれ!」「何でテメーみたいなのが生きてんだよ!」「オレの子に近寄るんじゃねー!消えろ!」「バケモノは帰れ!」「どこ見てやがんだ、バケモノ!テメーなんかこの世にいらねーんだよ!死にやがれ!」」
突然叫び出したナルトの表情には、サスケが見たことの無いほどの怒りが出てた。
サスケはナルトの突然の罵声に目を見開き、体が固まった。
怒鳴られた事などないサスケには、すごく刺激的だった。
ただでさえ言ってる事がきつく衝撃的だというのに、ナルトはそんなサスケを構う事無く叫び続けた。
「そう言うよな!?言葉が通じるんなら言葉で耳を腐らせ、呪い、中身をぶち破るよな!そしてそれで足りないなら外側からもギタギタに傷つけるんだ!運がよければ死んでくれる、そんなことを思いながら!バケモノだから何やったって大丈夫!バケモノだから何言ったってかまわない!バケモノだから何も感じないって!笑いながら言いやがって!痛みを感じる事なんてみんなとおんなじなんだよ!痛みを感じないやつなんてこの世に誰一人といねーんだよ、コノヤロー!」
ナルトはそう一気に叫び 、一番近くの机を蹴り飛ばした。机は反対側の壁に叩き付けられ、窓ガラスが振動するほど 派手な音を立てた。
静まり返った部屋で、 聞こえるのはナルトの激しい息づかいだけだ。
サスケはナルトに かける言葉が見つからなかった。
サスケの手足は重く感じ、まるでナルトに術をかけられたかのように瞬きすら出来ない。
しばらくしてナルトは自分の鞄を取りクラスを出ようとした。焦ったサスケはやっと金縛りが解け、声を上げた。どうしても一言言いたくて。
「ゴメン!」
サスケの思いが全て詰め込まれた一言だった。だけどナルトにそんな思いは届かず、あっさりと受け流された。
「へっ、何にだよ?」
ナルトはドアの前で立ち止まって振り返り、サスケを睨んでそう聞いた。
サスケは答えなかった。答えられなかった。
答えないサスケを尻目に、ナルトは ドアを開けクラスを出た。そしてさっきまでの怒りがウソのようにそっと静かに、後ろのドアを閉めた。
ナルトとサスケの会話をクラスの外で聞いてたイルカ先生は、すでに隣のクラスに入って身を隠していた。
その後、帰り道を歩くイルカ先生とサスケは胸がいっぱいで、自分の足も心もとてつもなく重く感じた…
