Title :ステップブラザーズ(3/3)

するりと手がシャツの中に潜った。ひんやりとした指が肌を撫で、腹から胸へと上がる。

「んっ…」

シャツの下で蠢くのは柔らかさのない骨ばった指。女性のものではなかった。指の持ち主を見上げても、何故なのかそのあたりだけ暗くて、どんな顔をしているのか分からない。けれど、胸を撫でる手は自分とは異なる種類の白。荒れた指先が、そっとライトの乳首に触れた。

「あっ…」

じん、とそこから広がった感覚に体が震えた。表情が見えないその人が微かに笑った気配がした。ライトは何に分類したらいいか分からない不可解な感覚を与えた手を逃れて体を丸くした。笑われた事が哀しかった。自分の体に腕を巻きつけて抱きしめる。

ふわりと漂っていた甘い匂いが動いて、ライトの額に掛かった髪を払ってキスする。体の両脇に手を着き、落とす影を濃くするその人にやんわりと抱き込まれた。裸の肌と肌が触れる。びくりと跳ねた体を驚かせないように、でも強引な仕草でライトを逃さない。ライトの強張りがとけるまで、優しい手は繰返し背を撫でた。

ライトの緊張は徐々に和らいだが、どうすべきなのか戸惑っていた。シーツを握り締めていた手に気付かれる。大きな手がライトの手を取り、肩に回させた。おずおずと回した手に黒髪が絡んだ。

背に回っていた手が、再び胸に置かれる。ライトの体を固定すると、舌と指が初めての感覚を拾い上げたところを刺激する。唾液を絡ませた舌が幼いピンクを包み、舐め上げる。指がその後を追い、くり、と潰した。

「あ、あ、…」

女性みたいにミルクなんて出ないのに強く吸われる。痛いだけだと思ったのに、徐々にその感覚が違うものに変わった。その人が何かするたびに、ぴくりぴくりと体が反応する。反対側も同じように責められ、思わずよすがの様に髪を掴んだ。

「ふぅ…、ん…」

何もされていないのに、お腹の下の方が痛い。不思議に思ったライトが二人の体の隙間を覗いた。

「え…?」

パジャマのズボンが盛り上がっている。勃起という現象は、年上の子供たちがライトの反応を面白がるように教えてくれたし、去年男子だけを集めて行われた授業で知っている。

同じ歳の子供たちよりもセクシャルな面で発育が遅かったのを気にしていたライトは、ほっとした反面、こんなにも痛いものなのかと驚いていた。

子供の好奇心から手を伸ばし、服越しに腫れた部分に触れてみる。

「わ、ああぁ!」

強烈な電気が体中を走った。少し触れただけなのに、そこから体中を駆け巡った感覚は強烈で、足の指先までも痺れている。もう一度伸ばした手を取られて、影の人の口に含まれた。舌がライトの指をぴちゃぴちゃと音を立てて舐め、指の股を擽った。

「うんっ…」

ますます硬くなったものが布に擦れて痛い。無意識に腰を揺らすライトを、男が抱え体勢を変えた。シーツの上に胡坐をかき、ライトをその上に降ろす。そうして、片手で器用にライトのズボンをずらした。弾かれる様に、下着から出てきたライトの先端は雫を湛えていた。

自分のものなのに目が離せない。視界の中で雫がほろりと零れライトの薄い下生えを濡らした。白い指が雫を掬い、ライトの唇に塗った。舌に乗った味は苦く、美味しいとは思えなかった。顔をしかめたライトを男が吐息で笑った。

顎に手がかかり、顔を上に向かされた。間際に迫っていた男から逃れる暇もなく、ライトの唇に男の唇が触れた。家族以外の者からされる、初めての唇へのキス。呼吸が苦しくなって、男から離れて空気を求めて喘いだ。

滲んだ涙を舐められ、開いていたライトの口内に男の舌が入り込む。他者の熱と、軟体動物を思わせるぬるりとした感触が、気持ち悪くないことにライトは驚いていた。

「は、むっ、ぅ、んん…。んあっ!」

大人のキスについて行くのが精一杯だったライトは気付かなかった。いつのまにか男の手が伸ばされライト自身に絡む。まだ成長途中のライトの先端が男の手から少しはみ出す。手が上下するたびに先端に掛けられた指が、ライトの敏感な口を苛めた。

「は、はんっ!あ、あ、あ…」

閉じられなくなった口に何かが触れる。ライトは無意識に閉じていた眼を開けると、男の指がシャツの裾をライトの口に押し込んでいた。

「むぅ…う…」

表情は見えなくとも、邪魔がなくなったライト自身を存分に視ている。

「やっ」

シャツを引き慌てて自身を隠そうとするのに、ライトに絡まったままだった男の手が激しく動き出した。

「ん、っ、んん!」

もう一度咥えさせられたシャツの布を噛み締め、腰を中心に高まる感覚を耐える。腰から下が自分のものでないようにコントロールができなかった。男が耳に言葉を吹き込む。言葉よりも声の低い響きに、ぞくぞくと背が震える。ライトは自分を苛める男の腕に爪を立てていた。

「う、んっ!…あっ、あっあっ。…に…さ、ま…!」

まるでマラソンの後のように荒い呼吸を吐きながら、ライトは眼を覚ました。まだ下肢は残滓を吐き出そうとびくりびくりと震えている。濡れた下着が冷え始め、ライトはひどく悪い事をした様な気がしていた。

これがライトの精通だった。

まだ外部との交渉を任されていないライトの仕事は、データ収集とその分析、そして家事だった。Lの好みと健康管理。難題にワタリの長年の知恵がライトへ受け継がれていた。

ワタリと一緒に行う食事の支度は、傍目からは仲の良い祖父と孫だった。そして、そこに家事には全く役立たないLがキッチンの椅子に座ってライトを見る。それがこの家に来てからのキッチンの風景だった。

「おはようございます…」

「おはようございます、ライト。今日は少し遅いようですね」

「遅れてしまってすみません。キッチンに来る前に、洗濯機を動かしたので」

「そうですか、洗濯を…。ライト、パンケーキをお願いできますか?もう生地は出来ています」

一瞬だけ眼鏡の下でワタリの眼が輝いたのを、エプロンを着ていたライトは気づかなかった。

「ライト、今日はシロップじゃなくて、ストロベリーソースがいいです~」

「兄様もおはよう。ソースだけでいいの?」

「クリームもお願いします!」

普段と変わらない朝食風景を送れている自分に、ライトは安堵していた。

Lの大きく開いた口へカットしたパンケーキが持ち上げられた。たっぷりとかけられたソースが、綺麗に焼けたパンケーキの表面を移動する。端まで来たソースが垂れ落ちそうになるのを、Lの舌が掬い上げる。そして、生クリームの山に突っ込んだ舌先がクリームとソースのミックスを舐め取り、口内に引き込まれていった。Lの口が動き、パンケーキを咀嚼する。たっぷりのクリームが一度では含みきれず口の端についていた。それを舌が出てぺろりと舐め取った。

紅茶を入れていたライトは、その光景から眼が離せない。からからになった喉を潤す音が大きく聞こえた。

「ライト、溢れますよ」

いつのまにか視界のLがライトを見ていた。

「え?うわっ!」

紅茶が溢れ出したカップに触れ、熱さに驚いたライトはカップをひっくり返してしまった。とっさに手を引いたが間に合わず、紅茶が掛かった箇所がひりつくように痛い。

「ライト!」

Lは椅子を蹴倒すと、ライトを抱きかかえて水場に走った。

手を乱暴に引かれ冷水に浸らせる。ずきずきとした痛みが和らぎ、ライトは詰めていた息を吐いた。

「どうですか、ライト?」

「だいぶ良くなったよ。ありがとう、兄様」

冷水の下でライトの手を冷やすLの手も同じように冷えていた。水に濡れた指は普段よりも白く見えた。その白が夢の中の指を思い出させた。ライトは頬が熱を持ったのが分かった。

「一人で大丈夫だから」

気づけばLに背後から抱かれ、腰には手が回っている。背から火傷を見るLの顔は、ライトのすぐ側にあった。低い声が耳元で聞こえる。最後の時、限界まで膨らんでパチンと弾けそうな感覚を耐えていたライトを崩した声。

『達きなさい、ライト』

耳にまだ残っていた言葉に頬だけでなく体中が熱い。

「熱傷は見た目では分かりません」

Lはライトの赤くなった指先を水から出し眺めた。

「幸い、深度はたいした事ないようですね」

水に濡れたライトの指にLが身を屈めてキスをした。

「に、にいさま!」

「早く良くなるおまじないですよ」

「……っ!僕、もう授業に行ってくる」

「ライト?」

Lから手を取り戻したライトは、後も振り返らず部屋へ走った。

「ライトの怪我はどうですか?」

救急箱を手にワタリが現れるが、肝心のライトがいない。

「ライトはもう授業に行ってしまいました。突然、どうしたんでしょうかね?」

「………待ちが長いのも考えものですな」

「ワタリ?」

一人残されたLは濡れた手をシャツで拭い、気を取り直してライトを観察するためモニタールームに向かった。

何時もより早く着いた教室は誰もいない。ライトは自分の席に腰を下ろすと、呼吸を整えて自分を落ち着かせた。怪我にキスされたことなんて、今までに何度もあったのに。Lが触れた箇所が火傷とは違った熱を持っていた。

熱の理由は分かっていた。今朝の夢だ。淫夢の相手が男だからと言って、自分のセクシャリティがホモセクシャル、もしくはバイセクシャルとは限らない。欲情する事自体初めてのライトにはデータが不足していた。

「おはよう、ライト。今日は早いのね」

「おはよう、リンダ」

スケッチブックを手放さない彼女の指はいつもペンキで汚れていた。それをからかう子供たちもいたが、ライトは何かを生み出すことのできるリンダを尊敬していた。

「リンダ、おかしなお願いをしてもいい?」

「ライトのお願いなら喜んで。なあに?」

「ハグしてくれる?」

椅子から立ち上がったリンダがライトを緩く抱きしめる。大人になりかけの凹凸が出始めたリンダの体に抱きしめられるのは心地よい。けれど、心地よいだけだった。身を離したライトがリンダに礼を言う。

「ライトならいつでも大歓迎よ」

他の子供たちが部屋に入ってきて、二人の会話は終わった。

ノックと一緒に扉を開けるのは、たいていゲームに夢中で返事がないからだ。

「マット、入るよ?」

「おー、俺の部屋に来るなんて珍しいな、ライト」

「まぁね。それ、新しいゲーム?」

テレビの中でアンデッドが襲い掛かってくるのを、マットの操作するキャラクタが的確に打ち抜く。

「期待してなかったけど、結構楽しめる」

「ふーん」

ベッドに座るマットの隣に腰を下ろす。

「…ねぇ、メロとキスするのってどんな感じ?」

ぼとりとマットの手からコントローラーが落ち、テレビの中のキャラクタはモンスターに齧られた。

「ラ、ライト、何言って…」

「ハウスの裏でキスしてたでしょ。他の子供たちから隠れたつもりでも、僕の家からはよく見えてたんだ」

「う~~」

確かにメロとキスした。が、それはお互いが好意を抱いてと言うよりも、成長過程での実験のようなものだった。実際、メロはどうだか聞く事が出来なかったが、マットはこの時のキスで自分のセクシャリティと感情がはっきりした。

けれど、その後しばらくメロとは気まずくなり、あげくに喧嘩をした自分たちはガキだったと、その時を振り返ってマットは頭を掻いた。

「どんなってキスはキスだよ。相手が男でも女でも、あんまり違いはないと思うぞ」

「じゃあさ、メロとキスして気持ちよかった?」

「なんだ、ライト。気になるのか?」

振り向いたマットの顔はニヤニヤと笑っていた。

「してって言ったらしてくれる?」

無言で手招いたマットにライトは素直に近寄った。あと少しのところで肩を引かれ、戸惑う間もなくマットとキスしていた。触れただけで離れたキス。

「どうだった?」

唇に指を当て、ライトは感触を思い返す。

「悪く、ないと思う」

「ひでえの」

苦笑いをするマットにライトも笑った。その二人の耳に廊下から物音が聞こえた。徐々にその音は大きくなり、二人が居る部屋に確実に近づいている。

「やばい。ライト、俺まだ死にたくないからフォローよろしくな」

そう言って、迫った身の危険にマットは窓から外へ飛び降りた。

「ライト!!!」

ドアを壊す勢いでLが現れる。らしくもなく慌てたのか、足元は裸足だった。

「どうしたの、兄様?」

「どうしたもこうしたもありません。マットは何処ですか!?」

「そこから出てったよ」

「ワタリに追跡させます」

「どうして?見てたなら知ってるでしょ。僕がマットにキスしてって頼んだの」

自分とは裏腹に普段通りのライトを見て、Lはがりがりと爪を噛んだ。Lが知る限りマットとのキスが、ライトのファーストキスだった。

「…ライトは、マットが好きなのですか?」

「違うよ」

次期ワタリとして育てられるにつれ、ライトは彼自身の感情を隠し、求められる表情を顔に乗せるようになった。それはLでさえも読むのが難しい時があるほど熟練していた。今、Lが見下ろす表情はまさにその時のライトだった。

ライトが立ち上がりLを見上げる。そっとライトの手がLの口から指を外した。そして、ゆっくりライトの踵が上がり、Lはキスをされていた。驚きで見開いた眼は近すぎて焦点を結ばない。唇が知覚するのは柔らかく暖かい感触。

あっという間に、それが離れていく。Lはライトの頭を掴み引き寄せた。一度は離れようとしたライトの唇が、今は深くLと重なり合う。マットとのキスが子供だましとさえ思わせる、深く、情熱的なキス。

「ん、んっ…」

呼吸が苦しくて喘ぐように酸素を求めると、すかさず侵入してきた舌が執拗にライトの舌に絡んで離さない。Lの舌から移されたのは甘い砂糖の味。口内でライトの舌が快感で震えた。

「はっ、…ふ、くるし…」

やっと身を離され、緩くLの腕に拘束されたライトの肩が大きく上下する。涙目になったライトはLのシャツに縋っていた。

「兄様はいつもこんなキスをするの?」

「誰にでもと言う訳ではありません。…それよりライト、少し離れてくれませんか?」

「?兄様が手を離せばいいじゃない」

「それは駄目です。嫌です。ライトが少しだけ離れてくだされば助かるのですが…」

「どうして?」

「大人の事情です」

「あぁ、勃起しちゃった?」

「ぼ、勃起って…。どうしてライトがそんな言葉を知ってるんですか!」

「去年、セックス・エデュケーション受けたから。ねぇ、兄様、触っていい?」

「触って…?何を言ってるんですか、ライト!」

「Lってペドフィリア?だから、僕に兄様って呼ばせたの?」

「ペドフィリアなどではありません!ちゃんとライトが大きくなるまで待つつもりです。兄様と呼ばせたのは、…私自身への戒めでもありましたが、そう呼んでくださるライトが可愛かったのもあります」

「ふーん、僕が大きくなるの待ってたんだ?でも、大きくっていつ?その定義は何?」

「それは…」

ライトの腕がLの腰に回り抱きしめる。芯を持ち始めたものがライトの腹を突付いた。

「熱いね。兄様が熱くなるとき、…僕の事を考えたことはある?」

「常に、です。私はライトが聞きたくないと思うような事も考えています」

高ぶったものをライト本人に知られLは開き直った。ライトがLの欲望を受け止められる程に成長した暁には、自分に縛りつけ、他の者との関係を築くどころか、接触さえもさせないつもりだった。ワタリと言う立場であればそれは可能だった。

ライトの指が恐る恐る服越しにLのものに触れた。

「兄様、こんなに大きくなってる…。痛くない?」

「触れてみますか?」

ライトが大きくなるまで待つと言う戒めは、ライト自身から触れてきたことで破れたも同然だった。その好機をLは逃すつもりはない。ジーンズを開き前を寛げる。成り行きを見守る、ライトの好奇心溢れる視線に苦笑いをして、下着をずらした。

「わ、ぁ…」

成人した男の、勃ち上がったものを見るライトから感嘆の声が漏れた。Lのものは先端からほろほろと雫が溢れていた。

「触れていいですよ?」

おずおずと手を伸ばして来たライトの手ごと、Lは自身を包んだ。ずっと願っていたライトの手が自身を包む光景にずくりと大きくなった。

「あっ…」

手の中で形を変えたものに驚いた。こんなに大きいのにもっと大きくなるなんて。思わず手を引こうとしたが上に置かれたLの手が許さなかった。

「もっと大きくなっちゃった。兄様、気持ちいいの?」

「えぇ、いいですよ。ライトも出してください。私、ひとりで寂しいです」

「う、ん…」

立派なLのものを見た後では、幼い自分のものを出すのに躊躇した。おそらく男には生まれる前から備わっている下に対する競争心が、ライトを気後れさせた。

「でも、笑わない?」

「ライトは成長途中ですから小さくて当たり前です。これから大きくなりますよ」

服を緩めるライトの手をLは忍耐強く待った。幼いながらも勃ち上がったライトが、ようやくLの眼に触れた。淡い下生えからそそり立つ、誰にも触れられた事のない純粋なピンク。無意識にLは喉を鳴らしていた。

「触れても?」

「うん…」

痛まないように、唾液で塗らした指でライトに触れる。触れた途端、ライトの体が跳ねた。

「あっ!」

初めて聞くライトの甘い声に、あっさりとLのたがが外れた。全ての指でライトを包み、強弱をつけて扱き上げる。

「うっわ…、はっ、はぁ、ん…。に、さま…、やっ…」

快感に目覚めたばかりのライトには過ぎる程の刺激を与えられ、途切れ途切れにLに助けを求める。だが、ずっと求めていたものを手に入れたLは、ライトの快感に喘ぐ声と媚態にストップを聞くつもりはない。

「こうするともっと悦いですよ」

今や腹を打つほど勃ち上がった自身と、快感に震えるライトのものをまとめて手で包み扱いた。擦り合わせる二人のものは成熟の差がはっきりとしていた。大きさも色も異なる。Lは廃頽的な快感に酔い始めた。ライトの腰を抱き、自分のリズムに合わせ蠢かせた。すぐに学習の早いライトは悦くなる方法を覚えた。

「ん、ん…」

「ライト…」

自分に触れるLのものが熱い。耳に掛かるLの声も。涙で滲み始めた視界の中でLの手が二人が溢れさせた雫で滑らかに動く。ぐちゅぐちゅと激しい水音がライトの耳を犯した。今朝のように下腹が痛い。だが、もうライトにはそれが快感だと理解していた。このまま痛みが高まるとどうなるのかも分かっていた。

「も、だめ…。兄様、手を、離して」

ライトの制止を聞くどころか、ますます激しくなる手にライトの腰は浮いていた。Lのシャツにしがみ付き、もう止められない快感の膨張に身を任せた。

「やっ、やぁ!」

二人の間にライトの幼いものが白濁を吹き上げた。浅く開いた唇で呼吸を繰返し、恍惚に浸るライトをLはあまさず見ていた。ゆっくりと力の抜けた体がLに倒れこむ。他者による初めての射精にライトの意識は漂った。意識がこちらに戻るまでLはライトの顔中にキスを繰り返していた。

「ライト」

「あ、兄様…。ごめ、僕だけ」

「構いませんよ。気持ち良かったですか?」

「…はい」

頬を上気したライトが照れたように笑う。初めてのライトのセクシャルな体験は悪いものではなかった。ライトの意識にすんなりとセックスが気持ちの良いものと位置づけられた。

「それは良かったです。…が、もう少しライトの手を貸してくださいね」

Lは濡れたライトの手を持ち上げ、キスをした。指に絡むライトが吐き出したものを舐め取る。そして、ライトの達する顔で痛む程に膨れ上がった自身をライトの手ごと包んだ。脅かさないようにゆっくりと、完全に勃ち上がったLの形をライトの手に覚えさせるように上下を繰り返す。

ライトに合わせた幼い愛撫でも徐々にLの快感は絶頂へと高まった。抱きこんだライトの髪に顔を埋め、ライトの匂いを存分に吸い込む。

「…ふっ」

徐々に扱く手を早め、先端を親指で刺激する。

「兄様…」

ライトのもう一方の手がLの根元に絡んだ。取られたままの手は、Lのリズムに合わせ、時にはずらす。いつも冷静で皮肉ばかりを言うLが眼を瞑り、荒い呼吸を繰り返す。始めて見る無防備とも取れるLの姿にライトの手が早まった。もっとこの人を崩してみたい。踵をあげLの顎にキスをした。びくりと反応したLが楽しくて、ライトは襟ぐりから覗く肌にもキスをし、ぺろりと舌を這わせた。

「つっ!」

幼い愛撫を仕掛けてくるライトを掴んだ手を強めた。その力は強くて、きっとライトの肌に跡を残すだろう。それでも、ライトはLを扱く手を止めることはなかった。Lの呻く声がセクシーだった。ライトのものが再び芯を持つ。でも、今はLが最優先だった。ライトはLが反応する箇所を学習し、責め続ける。

「ラ、イトッ」

3つの手に責められ、Lのものが白濁を飛ばした。積年の想いを孕んだそれはライトの顔を汚す。どくどくと溢れ続け、二人の胸にも散る。

「あ、あ……」

「…すみません、飛ばしましたね」

ごくりと喉を鳴らし呼吸を整えたLが言う。普段どおりの顔にも見えるが、ライトは満足と僅かな羞恥を認めた。

ライトの顔に飛んだものをLの舌が拭う。顎に伝ったものはライトの手が掬い、じっと見つめた後に舐めた。妙な味だ。きっと自分は夢と同じ顔をしている。

「変な味…」

「すぐに慣れますよ」

Lは胸元のシャツを引っ張り、顰めたライトの顔を拭った。

「…兄様」

「何ですか?」

拭いきった後でもLはライトの顔から手を離せなかった。手の甲で頬を撫でる。普段は不器用なくせに、こんな時は優しい手の心地よさにライトは眼を細めた。

「…あのね、今朝夢を見たの。今みたいに気持ちよくなる夢。兄様にされたみたいに夢の中の人も僕に触れてくれた。最初はよく分からなかったけど、そのうちに体が反応して勃起してた。初めて射精しちゃった」

「…誰でしたか?」

「嫉妬?」

「えぇ。ライトの始めては全部貰うつもりでした。ですから、ライトのファーストキスを奪ったマットを許しません」

「キスより凄いことを兄様にあげたからいいじゃない」

「いやで」

「兄様だったよ」

どうやっても取り戻せないことを拗ねるLの言葉をライトが切った。

「は?」

「夢の中の人。顔は影になって見えなかったけど、黒髪、声、甘い匂い。それにこの白い手」

頬に当てられたままだったLの手を取り、ライトは掌に口付けた。

「兄様だった」

「ライト…」

顎を取り上を向かせたライトに深く唇を合わせた。おずおずと伸ばしてきたライトの舌を迎え、引き入れ、絡ませた。舌から体中に広がった甘い痺れがライトの力を奪う。ことりと胸に倒れた込んだライトを懐に抱き込んだ。

見下ろすライトのうなじが色づいていた。背を抱いていた手で髪を払い、普段は隠された肌を堪能した。人種的なものもあるだろうが、ライトの肌はどこに触れても上質な絹のようで、ただ触れるだけでも気持ちがよい。

「夢の中で兄様に抱かれたのが僕の性の目覚めだった。でも、だからと言って僕のセクシャリティがホモセクシャル、もしくはバイセクシャルであるのか分からなかった」

「だから、リンダやマットで実験したのですか?」

「言い方が悪いよ、兄様。僕はちゃんとお願いしてたでしょ」

「そう、ですが…でしたら、マットもハグで良かったのではないですか?」

「マットとはハグを何回もしてるもの。それでね、リンダにハグされて心地よさを感じても欲情はしなかった。かと言って、マットとのキスは悪くなかったけど、マットを抱きたい、抱かれたいと言う感情は起きなかった。キスで勃起したのは今のところLだけ。僕の性欲はLを示しているけど、それが感情を伴っているのかよく分からないんだ]

「一緒に長く居すぎましたか」

「そうかもしれないね」

「ですが、私はライトを離すつもりはありません」

「兄様はLのくせに、何も一人で出来ないものね。仕方ないから、ずっと僕がいてあげる」

柵の外の家では、ただ一人残った住人が最近購入した郊外の家に行けるのは遠くないことだと、モニターを前に喜んでいた。

END