(訳註) 本ページの内容は、(訳註)または(TRANSLATOR'S NOTE)と明記してある場合を除き、全てNenya85さんが書き本サイトに投稿した"I Guess it was in the Cards"を、ねこまが翻訳し、作者であるNenya85さんの許可を得て公開したものです。(訳註)または(TRANSLATOR'S NOTE)と書いてあるものは、翻訳者であるねこまが書き加えたものです。

TRANSLATOR NOTE: The contents on this page are the Japanese translation of "I Guess it was in the Cards" written by Nenya85 and posted on this web site except indicated by (訳註)or (TRANSLATOR'S NOTE). The texts indicated by (訳註) or (TRANSLATOR'S NOTE) are written by Nekoma, the translator of this fic. The contents are posted by Nekoma upon the author's permission.


読まれたら批評をよろしくお願いします!

作者註: 私は元々これを明日投稿するつもりだったのですが、早く準備ができたので、待ちきれませんでした。これは私が最も心配している2章です。結局、もし闇海な話を語ろうと思うなら、彼らが闇海になる瞬間を適切に描写しなければなりません。この話は13歳未満閲覧注意指定なので、直接的な詳しい描写はないですが、彼らのキャラクターを考え、私はそれを激しく、感情面に忠実に描写しようと試みました。それは結局のところきわどい境界線で、あなた方がどう思うかひやひやしているのです。

私は8章と9章を同時に投稿します。闇遊戯視点と海馬視点が対になっており、それらは同時に読まれるようになっているからです。なので、作者註の続きは9章の最後に書きます。


9章:初めて

闇遊戯の話

「オレたちの初めてのデュエルを覚えているか?」海馬はうとうととしながら尋ねた。

「ああ」

デュエルモンスターズの世界に放り込まれ、彼自身の生み出した魔物に殺される結果になったことを考えると、それは幸せな思い出とは思えなかったのだが、彼は微笑んでいた。

「あのブルーアイズを覚えているか? すごくかっこよかった」彼は無意識に最初に会ったときの言葉を繰り返した。

「覚えてるぜ」

だが最もオレの印象に残っているのは、あの獣ではなく、ブルーアイズが飛び立ったときに海馬の顔に浮かんだ喜びの表情だった。彼の目が純粋な驚きで見開かれるのを見たのは最初で最後だ。それは一瞬しか続かず、すぐに痛みに曇り、ドラゴンが彼の命令に従わず自滅した時点で全ての感情は消えてしまった。オレは不意に、彼がカードを破ったのは冷徹な計算からなのか、それとも嫉妬の激情にかられたからなのだろうかと思った。

「オレはあれからあのブルーアイズを再現しようと何度も試みた。だがどうしてもうまく行かない」彼は物憂げにつぶやいた。「もしかしたら、彼が本当は決してオレのものではないからなのかもしれない」

「見せてやろうか?」オレは尋ねた。オレは決して軽々しく闇の力を使ったりしない。だがこれは些細なこととは感じられなかった。それに海馬がここまでオレに何かを頼むに近いことを言うのは初めてだった。

にわかにブルーアイズがベッドの上に浮かんでいた。しかしこれはじいさんの失われたドラゴンではなかった。これは海馬のだった。誇り高く不屈の精神で飛び立ち、首を反らせ、世界に挑みかかる雄叫びを発していた。それは他のものと同様、戦いで負けることはある。だが1ミリも屈しようとせず、決して降参しないのだ。このモンスターは決して彼を裏切らない。彼の魂はそれに守られている。

「貴様にはオレのブルーアイズはこんなふうに見えているのか?」海馬は圧倒されてささやいた。

「いいや。これはお前を見たときに感じたのさ」

海馬はオレをじっと見つめた。唇が僅かに開かれていて、オレは我慢が出来なかった。オレは前のめりになり、彼に柔らかくキスをした。腕を伸ばして、彼の長い前髪を目元から優しくかき上げた。彼の顔を愛撫するために。彼の目は暗く、黒い瞳孔が広がって青い部分を飲み込んでいた。彼はあっけにとられた様子で、まるで人間同士が怒りの感情以外から触れ合うことができると知らないかのようだった。オレは呼吸の速くなった彼にもう一度口付け、彼の唇と舌とを味わい、シナモンとチョコレート色をした髪に指を絡めた。

彼は応えを返した。だがゆっくりと、まるで急に慣れない言語を喋れと言われたかのような反応だった。彼の顎の下の鼓動が感じ取れた。オレはそれにキスし、それから細い首をなぞり、彼のシャツのボタンを外した。彼は震えて微かにうめいた。だがその静かさと従順さにオレは心配になった。それに、彼の拳は、まるで殴られることを予想しているかのように握られたままだった。

幾晩も彼を腕に抱いて眠った後では、今彼を抱きしめるのは正しいように思えた。だがオレは躊躇した。自分の欲望を彼のものと混同することを怖れたのではなかった。オレは彼の反応を見逃しはしなかった。そうではなく、彼のやっかいな防衛ラインを侵すのを怖れたのだ。オレは彼の心が如何に脆いか分かっていた。その心を砕いたのはオレなのだから。そしてオレはモクバに、これ以上彼を傷つけないと約束した。しかしオレの僅かな撤退が、海馬の中の何らかの自制を壊したらしく、彼はオレを引き寄せて、ドラゴンの心が持つ荒々しさでキスをした。突然の感情の勢いに投げ出され、彼はバランスをとるためにオレにしがみついた。

オレはオレのドラゴンを誇りに思った。彼は全くの不慣れだった。彼のこれまでの人生にこれに備えさせるようなものはなかった。彼は明らかに、喜びを与えたり受取ったりするために他の人間に触れたことが無かった。そして、ここまでオレに心のうちを覗かせることを怖れているのは明らかだった。しかし彼のドラゴンと同様、彼は退却しようとせず、オレの熱情に自分のそれで対抗した。彼は、細く頼りない命綱を投げられた溺れる人間のような必死さと僅かな希望を持ってオレにキスをした。オレは彼の信頼の大きさと、その壊れやすさに圧倒された。オレが海馬の魂の中心で見つけることを予想していたもののうち、無邪気さと信頼とは最も思いがけず、最も貴いものだった。

オレは自分自身の欲望を超えてあまり深くは考えていなかった。眠る彼を腕に抱きしめた後では、オレは彼の応えを感じたいと思い、うめき声を聞きたいと思い、その情熱を掻き立てたいと思い、彼がオレの下で動くのを感じたいと思い、そして何世紀も経ってついに、彼をオレのものだと公言し、彼をものにしたかった。一つの魂がオレの保護に委ねられたのだ、と気付いたのは、後になってからだった。

更に後になってから、眠る彼を両腕に抱きながら、オレ達が共に過ごした夜の間中ずっと、オレがボタンを外したにもかかわらず、彼はシャツを脱ごうとしなかったことに気付いた。