「しかしこの薬は改良の余地が必要だな。落ち着きすぎて怖いくらいだ。」
「飲んだ量が多かったからよ。」
ソフィアはクスクスと笑いながら薬の入っていた瓶を揺らした。
「君が飲ませたんだぞ。」
先ほどの事を思い出し、ふたりは言葉を詰まらせた。ソフィアはうつむき、セドリックは天井を仰いだ。共に頬を赤く染めながら。
しばらくの沈黙が流れ、それを破ったのはソフィアだった。
「ついでだから、言っちゃおうかな。」
「ん?何をだ?」
「私の秘密。」
そうは言ったものの、鼓動が高鳴る。ソフィアも口に含み飲み込んだはずの薬。効果はあるのかしらと思えるほどの緊張感。
「あのね、、、」
もう、何年も秘めていた想い。
今なら伝えられそうな気がする。
ソフィアは深呼吸をして、彼の瞳を真っ直ぐにみつめた。
「わたし、セドリックさんの事がずっと、ずっと大好きだったの!」
言い終わると同時に緊張の糸がほどけたのか、その瞳は潤んで輝く。
「ああ、私もだよ。ソフィア姫」
セドリックは薬の効果なのか、相変わらず落ち着き払い彼女の髪をくしゃくしゃと撫でてそう言った。まるで父親のような素振りで。
ソフィアは不服そうに頬を膨らませた。
「そうじゃなくて!」
「?」
「…愛してるって意味!」
彼女にしては珍しく、少しばかり怒りのこもった声色だった。けれどそこには本当の気持ちが力強く込められていた。
「な…愛…!?」
さすがにセドリックも驚き慌てふためいた。まさか、プリンセスから愛の告白を受けるとは。
しかも相手はソフィアだ。幼い頃から知っている。
「私、あなたを幸せにしたい。」
ソフィアは本気だった。
今なら想いが届きそうな気がした。
「はぁ??…まるでプロポーズだな。」
セドリックは半分呆れ気味でこう言った。
言ったものの、内心は破裂しそうなほど胸の高鳴りを感じていた。もう薬の効果が切れたのか?緊張で顔がこわばる。
さっきまでとは違う反応を見せるセドリックに、ソフィアはクスリと笑い彼の耳元で囁いた。
「そう思ってくれてもいい。」
「なっ!?お断りだ!」
セドリックは真っ赤に染まった顔から上がる湯気を振り払うように首を振り、呼吸を整えるとソフィアの目をしっかりとみつめて優しくこう言った。
「決めてるんだよ。私なりに。もし結婚相手を見つけたら、プロポーズは自分からするんだってね。」
ソフィアは残念そうに俯いた。
『実のところ、そうしたい相手はもう決まっているんだが…。』
そんなことを思いながら、セドリックは隣に座り込み俯いている愛しいプリンセスの柔らかな髪にそっと口づけをした。
