(訳註) 本ページの内容は、(訳註)または(TRANSLATOR'S NOTE)と明記してある場合を除き、全てNenya85さんが書き本サイトに投稿した"I Guess it was in the Cards"を、ねこまが翻訳し、作者であるNenya85さんの許可を得て公開したものです。(訳註)または(TRANSLATOR'S NOTE)と書いてあるものは、翻訳者であるねこまが書き加えたものです。
TRANSLATOR NOTE: The contents on this page are the Japanese translation of "I Guess it was in the Cards" written by Nenya85 and posted on this web site except indicated by (訳註)or (TRANSLATOR'S NOTE). The texts indicated by (訳註) or (TRANSLATOR'S NOTE) are written by Nekoma, the translator of this fic. The contents are posted by Nekoma upon the author's permission.
第9章: 翌朝
海馬瀬人の話
映画の中で、恋人達がキスをして、スクリーンがフェードアウトする。また一つのハッピーエンド。
オレが映画を嫌う理由の一つだ。現実の人生には、ハッピーであろうが無かろうが、死ぬまでエンディングなど存在しない。そして死は、安息ではあるかもしれないが、オレにとってすら、「ハッピー」とは呼びがたいものだ。
オレは確かにモクバと一緒に映画を見に行くのが好きだ。オレは暗闇に彼と共に座って、特殊効果をどのように改善すべきか分析するのが好きだ。それはもしかしたらオレ達が進出すべき市場かもしれない。
それらは全て、遊戯について考えるのを避けるための方法だった。一方で、遊戯の滞在に同意したときにオレの頭に脳みその代わりに詰まっていたに違いない石ころの正確な大きさ、形状、密度について思いを廻らせながら。奴にキスをしたときに。奴にキスを許し、愛撫を許し、オレと寝るのを許したときに。まるでオレが誰か大事な人間であるかのように。まるで愛というものが存在するかのように。まるでオレが彼のものであるかのように。
オレは自分の唇に触れて、遊戯がそれを塞いだ感触を思い出した。オレはセックスがどういうものか分かっていた。利用されたように、自分の何かが奪われたように感じるはずだった。その後は、それまでよりずっと孤独を感じるはずだった。だから「ファック」という言葉が罵りに使えるのだ。しかし、遊戯はまたオレの定義を変えた。彼は、まるで次の日まで自分を覚えていてもらいたいとでも言うようにオレに唇を押し付けて痣を残した。まるで自分の一部を残すかのようにオレの首筋と太股にキスで印をつけた。オレは我を忘れた―自分自身に対し、絶対しないと誓ってきたことだ。オレはなかなかの見ものだったに違いない―彼の下でうめいて身をよじり、オレが望みが満たされることの無かった一生で望んだ何よりも強く彼を欲した様は。唯一の慰めは、もしオレが自分の感情に身を任せたとするなら、彼もまたそうであったということだ。彼の眼差しは情欲に浮かされ、動きは発作的でリズミカルでなく、息は不規則で、欲望と喜びにうめきながらオレの身体を温めた。彼の背中と太股はオレの爪の跡を残していた。
もしオレが自分自身の一部分―自分の一部である孤独を失ったのだとしたら、オレは代わりに喜びを―いや、歓喜を得た。オレは初めて誰かの腕の中で眠りに落ちたことを思い出して微笑んだ。自分が独りではなく、大切にされていると感じた。いつもどおり早くに目を覚ましたら、まだオレは彼の腕の中にいた。そして、そのままそこに留まっていたいと感じた。彼が再びオレにキスをするのか試してみたかった。服を着てできる限り急いでそこから抜け出したが、欲望に悩まされた。自分の弱点は知っている。
オレは常に力に惹き付けられて来た。危険など顧みなかった。結局、あの孤児院には100人の子供がいたのだ。そのうち99人は剛三郎に近寄らないだけの分別を持っていた。だがオレは単純なルールに従って生き抜いてきた。自分のものでないものは決して信用してはならない。そして遊戯はオレのものではない。
それでも、オレは彼とのつながりを感じてはいた。オレ達は互いを理解していた。モクバがオレを理解するよりも深く、彼の友人達が彼を理解するより深く。その友人達は、あの日、ペガサス城で、彼がデュエルに勝つためにオレを殺そうとしたことに酷いショックを受けていた。だがオレは、勝利への欲望にあまりに強く支配されたなら、他の全てはその前では色あせることを知っていた。結局、それを認めたのはオレだけだった。
それから、オレ達が向かい合って対戦する代わりに、隣り合って戦ったデュエルがあった。バーチャルワールドで、彼はオレに言うことを聞かせた。オレはモクバを失った嘆きから、ショックを受けて彼に従った。それでも、オレ達が創り出したマスター・オブ・ドラゴンナイトはオレ達両方の心を等しく受け継いでいた。
闇と光の仮面とのタッグマッチのとき、オレは空中50メートルの高さのガラスの屋上に立っていた。オレはブルーアイズを呼び出したが、それでもまだ敵のモンスターには及ばなかった。不可解なことに、あらゆる論理に反して、遊戯はオレに攻撃しろと叫んだ。それはまるで、オレ達が今一度ペガサスの塔の上にいて、彼がオレに飛べと言ったかのようだった。彼の力強い腕に捕まえられることを信じて。あのときほど自由だと感じたことは無かった。剛三郎のように死に向かって真っ逆さまに落ちるのか、オレのドラゴンのように空に霧散してしまうのかも分からないままオレは突進した。しかし遊戯は約束したようにそこにいてくれた。
昨夜、遊戯を信じることを選んだとき、自分自身をさらけ出すことを選んだとき、オレが彼の喜びの一部となり、彼がオレの喜びを満たすことを選んだとき、オレは自分の一生涯のルールを破った。今やそれは破れてオレの足元に落ち、その縁はペガサス城の下にある岩のように鋭く尖っていた。そしてオレはあの塔の縁にもう一度戻り(あるいはずっとそこに立っていたのかもしれない)、オレを殆ど突き落として殺しかけた男が、代わりにオレを守ることを選んだということを、信じたいと望んでいた。
作者註: 私は海馬と同様、カップルがキスをして、それ以上何も言うことがないかのように「終わり」の文字がスクリーンに瞬く瞬間が嫌いです。だから、これは終わりではく、真ん中の部分です。(実は始まり、中間、終わりの部分を考えています。)私は彼らの関係がどのように発展するのか、それぞれのキャラクターが何をもたらすのか、そして勿論、彼らが共にあるのに相応しいかを定める試練にどう立ち向かうのかを書きたいと思っています。これまで頂いてきた肯定的な反応から、皆さんももっと遊戯と瀬人の話を読みたい気分だと思います。
また、レビューにあったいくつかの質問に答えたいと思います:
時間軸: この話はバトルシティー後で、古代編が終わった後と見なしています。私は6つの千年アイテムが戻されたこと以外は古代編には従わず、闇遊戯がパズルと自分の身体を持ち、残りの人生を普通に生きるようになるとしています。
年齢: 海馬は漫画に登場したとき15歳でした。私はそれから少なくとも1~2年は経っていると考え、この話には17歳が相応しいと考えています。闇遊戯は勿論3千歳です。肉体的には、私は彼は海馬より1~2歳年上なのではないかと思いますが、やはり3千年の経験は影響していると思います。私は彼を、若くもあり老いてもいるもの―一種のエルフだという感覚を持っています。(普通の男が海馬に太刀打ちできると思いますか?)モクバは瀬人より5歳年下です―従って、誕生日がいつかにより、11~13歳ということになるでしょう。私は彼を12歳、思春期直前の子供だと想定しています。
学校の出席: 私は童実野高校で繰り広げられる話が好きですし、それは全てのキャラクターを絡ませるのに効果的ですが、瀬人も闇遊戯も学校には行っていません。漫画において、瀬人が短期間だけ学校に行き、遊戯との最初の戦いに負けたあと辞めたのは明らかです。私はこれは彼の基本的な性格にも、彼が海馬コーポレーションの社長だという事実にも合っていると思います。実は、もしそこまでいければ、先の章で彼の短い学校経験について扱おうと思っています。私は闇遊戯を学校に行かせようとは考えていません。もしかしたら考えるべきなのかもしれませんが。もし彼が行くとしたら、単に表遊戯や友達のそばに行くというだけだと思います。
闇遊戯の海馬邸滞在: 次の章で扱います。確かに、肋骨の骨折は深刻な怪我とは言えません―しかし私には、闇遊戯にあまり長くなりすぎない滞在をさせ、あまりからだの自由を奪うことの無い怪我が必要でした。次の章には、海馬の肋骨は回復するからです。
註が章と同じくらい長くなってしまいました! 批評をよろしく!
