6.あなたでなくちゃ
「じゃあ、行くね。」
「ああ、気をつけて行っておいで。」
ほんの数年前なら親子のように見えたかもしれない2人。
今では誰が見ても立派な恋人同士。
新たな物語を幸せへと導くため、今日もソフィアは旅立って行く。
その旅立ちを優しいキスで見送るのはセドリックだ。
「何度も聞くが、私でいいのか?」
「何度も言うけど、あなたでなくちゃ!」
真っ白だったセドリックの物語のページはその後、鮮やかな色を取り戻した。邪悪な企みではなく、ソフィアとの優しく温かい日々が綴られている。
「さて。これでハッピーエンドだと思ったら大間違いだぞ。」
「え?」
ふいに、セドリックがソフィアを抱き上げる。
彼にそんな力があったのかと思えるほど軽々と抱き上げた。
「これから、もっと幸せになるんだよ。2人でね。」
軽くウインクをして合図を送る。
「今のは、プロポーズだと思っていいの?」
ソフィアは驚きとともに喜びの声をあげ瞳を輝かせた。
「そういうこと。」
「ああ!セドリックさん!大好き!」
思わず抱きつけば、彼の足元はふらつき彼女を抱きかかえたまま倒れこむ。
「いたたたた…ソフィア、怪我はないか?」
セドリックは腰をさすりながらもソフィアを気遣った。
「うん…。」
「ソフィア?」
ソフィアはセドリックに抱きついたまま離れようとしない。
「行かなくていいのか?」
「離れたくない…。」
ソフィアはセドリックの背中に腕をまわし、さらにキツく抱きしめた。愛しさがこみ上げる。
セドリックもソフィアをキツく抱きしめると、すぐに力を緩めその髪を優しく撫でた。
「またすぐに逢える。早く帰っておいで。」
「うん。」
顔を上げたソフィアはゆっくりと微笑み、彼のスッと伸びた鼻先にキスをした。
彼女はストーリーキーパー。
全ての物語をハッピーエンドに導くため、これからも世界を駆け巡る。
彼はエンチャンシアの魔法使い。
愛する彼女のサポートをするため、いつでも優しく見守っている。彼女がどんなに遠くに居ようと、必ず彼の元に戻ってくることを信じて疑わない。
ふたりの物語はまだまだ始まったばかり。そう、幸せと共に。
