Title:L不動産(L/Light)

AN:先週末、旅行をしまして、ホテルの隣のブロックに、L不動産を見つけました!!そして、なんとその隣には大人なグッズのお店が!偶然とは言え、この並びに邪な笑いがこみ上げて、こみ上げて!やりましたよ、妄想ficです。完全にAUです。

*** *** ***

「いらっしゃいませ~」

思わず開けたばかり扉を閉めてしまった。なんだ、あの男…。

「お入りにならないんですか?」

笑うな、お前は笑わないでくれ。いや、営業なら笑顔が重要だと分かっているが、胡散臭さ倍増の上、夢に見そうで余計に怖い。人には向き、不向きがあることを改めて実感した。

扉を開けたとき、最初に視界に入った男は、椅子の上に膝を折り両足を乗せて、ケーキを食べていた。いや、それだけなら変わった男で済むのだが、奴の風貌がそうはさせなかった。

瞳孔が開いているんじゃないかと思うくらいの黒い瞳に、四方に跳ねた髪、何より目の下の濃い隈。青白く痩せた体にジャンキーじゃないかと思ったくらいだった。

思わず僕が閉めてしまった扉を、再び開けたのはその男。営業のくせによれよれのジーンズに、白いシャツ、履き潰したスニーカー。ますます胡散臭い。

出来れば相手にしたくなくて、扉の隙間から店内を窺ったが、他の人間はいないようだ。仕方なく、目の前の男に話しかけた。

「部屋を探してまして…」

「えぇ、この店に来るのは、みんなそうです」

不動産に来て、それ以外の用事があるか?男の言葉を無視して続けた。

「予算はこの位で。それから、留学で来ているので出来るだけ親からの援助を抑えたいんです。なので、他の学生とシェアできればいいのですが…」

「ちょうどいい物件があります!早速、見に行きましょうか」

ちょっと待て、間取りとか見せてくれるものじゃないのか。それに何だ、この車。不動産って儲かっているのか。運転手つきのリムジンって…。

「申し遅れました、私のことは竜崎とお呼び下さい」

「僕は朝日と申します」

「へぇ…」

車でもさっきの変な格好で乗り込む男が、名乗った僕を見て、唇に指を当てて微かに笑った気がした。

「何か?」

「いえ、朝日と言う苗字を持つ方には見えなくて、失礼しました」

「いえ…」

この男、油断ならないのかも知れない。確かに偽名だが、僕の態度に怪しむところはあったか?自慢じゃないが、僕は嘘がうまい。今まで見ぬかれた嘘なんてなかった。その後は会話が続かず、黙り込んだ二人だったが、お互いを強烈に意識していた。

「あ、着きました、ここですよ~」

「ここ、ですか…?」

「えぇ、最上階です」

「あの、どう見ても高級マンションなんですが…」

「まぁ、まぁ、シェアを望まれる方がいまして、ここは彼の持ち物なんです。なので、格安でお貸しできますよ~」

「はぁ…」

連れて来られたのは、最上階のペントハウス。専属のエレベーターまであり、部屋にはプールだってある。

「こちらが寝室となります」

マスタールームより一回り小さいが、それでも日本の僕の部屋が優に収まるくらいの寝室。中にはキングサイズのベッドが部屋の真ん中に置かれていた。

「どうぞ試して下さい」

「…ベッドをですか?」

「えぇ、寝心地などを」

ベッドに腰を下ろした。手を突いて確かめたスプリングは僕の好みにちょうど良さそうだった。

「寝転がっても構いませんよ?」

「じゃあ、遠慮なく」

ぽふんとベッドの上に横になった。さすがに欧米規格のベッドは身長180を超える僕でも余裕だった。部屋が見つかるまでは安いホテルだったから、このベッドが尚更気持ちよかった。

目を閉じていても、自分の上に影が落ちたのが分かった。不思議に思って、目を開けたら、目の前のあの男が覆いかぶさっていて、気がついたらキスをされていた。

「な、な、何するんですか!?」

急いでベッドから降りようとするのに、体の両脇に膝をつかれてしまったから逃れられない。それでも体を捻って男をどかそうとするのに、ぬるりと入り込んできた舌に驚いて、思わず抵抗を止めてしまった。

「やめ、やめろ!」

唇が離れる合間に上げていた拒否の言葉は、だんだん力をなくして、終いには掠れた声をあげさせられていた。

「あっ…」

体の奥に他人の熱を感じて、気持ち悪くて仕方がない。無理やり入れられた熱いものが、中を抉り、揺さぶられ、前を擦られて、胸を弄られ、快感を幾重にも重ねられたら、嫌悪より快感が勝った。

シーツを噛んで殺した喘ぎの名残が体を走り、中にいた男を締め付けた。首筋の後ろに奴の熱い息がかかって、ぞくぞくと体が震えてしまった。

「月君…」

熱い呼吸に紛れて僕の名前を呼び、男は僕の中で果てた。ずるりと抜け出てたのを見計らい、体を捻って今ある限りの渾身の力で竜崎を殴りつけた。完全に油断していた竜崎は、ベッドから派手な音を立てて落ちた。膝が笑うのを叱り付け、ベッドの脇にあった服を掴んで部屋から逃げ出した。

上がってきた時のまま待機していたエレベーターに乗り込んだ。壁に背を預け、呼吸を整えた。自分でさえも触れたことがない箇所が何故濡れているのか気づかない振りをした。

日本じゃないから気をつけなくてはいけないと分かっていたのに、さっそくレイプされた。最初から奴はやばいと分かっていたのに、みすみすと危険に飛び込んだ自分の愚かしさに笑いたくなった。

喉がぎゅうと締まってうまく呼吸が出来ないのも、通過階を知らせるディスプレイが滲んでいるのも、日本から遠く離れたしまったせいだと思い込んだ。

タクシーを拾い戻ったホテルのフロントで呼び止められた。予約のブッキングがおき、何故か宿泊中の僕が部屋から追い出されることになっていた。荷物はすでに準備され、代わりに用意されたホテルから迎えが来ていた。

嫌な予感と言うものほど当たるもので、代わりに用意されていた部屋に入ると、あの男が頬を青くしてソファーに座っていた。

部屋の扉に背を預けて、そこから竜崎を見た。

「こちらに来て、ソファーに座りませんか?」

「ここでいい。何故僕に付き纏う?」

「こちら来てくれたら教えます」

「そうか。なら、知らないままでいい」

背を預けていた扉を開けて出て行こうとするのを、いつの間にか背後に忍び寄っていた竜崎の手が留めた。僕が少し開けた扉が再び竜崎に閉められる。

竜崎の手から数センチしか離れていない僕の手が微かに震えていた。それに気づいたのか、竜崎がほんの少しだけ僕から手を遠ざけた。

「月君、私はLです」

「なら、僕はシャーロック・ホームズだ」

「すぐには信じては頂けないでしょうが、本当に私がLです。貴方は朝日などではなく、夜神。夜神月、でしょう」

「滞在していたホテルで聞けば分かることだな」

「貴方の父は、夜神総一郎で、警察庁で局長のポストにある」

「それも調べればすぐ分かることだ」

「2年前のサイバーテロを防いだのは貴方ですね。貴方の関与は上層部だけが知っていた」

「何の話だ?」

「私も興味がある事件だったんですよ。だが、その時は依頼を複数抱えていた。指示だけを与えて報告を待っていたのに、その後、届いた報告には解決されたとあった。しかも、誰かが私の指示を利用し、私が予測した時間よりも早く解決に導いた。貴方に興味を抱いてもおかしくないでしょう?」

「お前の興味の持ち方は、レイプか?」

「…それについては急ぎすぎました。実物は予想以上だったんですよ、月君」

「お前の事件を横取りしたのが僕だとして、もう僕に逢ってレイプもしたんだ。お前の興味も満たされただろう?学期の開始が近いんだ。邪魔しないでくれ」

「日本から脱出して、こちらの大学に通ったとしても、それは貴方の退屈を紛らわすものではありませんよ」

すぐ横にある竜崎の顔を睨む。

「図星でしょう、月君?貴方はレベルの劣る周囲に倦んでいる。私の元に来なさい。退屈など感じる暇などありませんよ」

「…留学させてもらった手前、大学には通う」

「いいでしょう。ですが、私と一緒に住んで頂きます」

「…寝室は中からのみ施錠できる部屋にしろ」

小さく笑う気配がして、くしゃりと髪を撫でられた。

「今日はよく休みなさい。明日から私の仕事を手伝って頂きますから」

僕が頷くと、竜崎が離れる気配がした。押し付けられていた扉から離れ、振り向いた先には竜崎のアップがあり、あっと思う間にまたキスをされていた。

「う…っあ…」

つぅと竜崎と僕の間を銀糸が引かれ、恥ずかしさに慌てて濡れた唇を拭った。竜崎がそんな僕をにたりと笑って、耳元にささやかれた言葉は…。

「気持ち良くなってしまっては、レイプじゃありませんね」

だった。

無遠慮な言葉に再び竜崎を殴りつけても、凶悪面の中に忍ばせた嬉しそうな表情を消し去ることは出来なかった。

END

*** *** ***

■おまけ■

「あっ、うぅん!や、やめろって、まだ…、あああ!」

「またですか、月君…。私はおもちゃのレコメンドのために体験して頂きたいのであって、貴方に感じてもらうためじゃないんですよ。ほら、早く客の購買意欲をそそるコメントをお願いしますよ」

「出来るか、この馬鹿!変態、詐欺師、カエル、強姦魔!!」

確かに仕事を手伝うこと言ったが、それは探偵業だったはずだ。あの日、不動産の店にいたのは僕と逢うためで、竜崎が経営しているのではないことは聞いた。だが、僕と逢った後に買い取った、その隣の如何わしいアダルトショップを経営しているなんて、聞いてなかった!

竜崎と住むようになってから、なし崩しに関係も持たされた。それはまぁ、出逢いを考えればなんとなく納得できるし、僕も気持ち良いから不問としよう。だが!アダルトショップの販促のためだと僕に使われ、その度にコメントを求めるなど、なんて失礼な奴だ!

「…あんまり煩いと上の口も塞ぎますよ」

「そんな事をしたら、コメントが取れないぞ」

「自発的にコメントなんて言ってくださらないのだから、それは脅しになりませんね」

「なら、言ってやる」

「えぇ、どうぞ」

せせら笑って戯れに僕の胸に触れる竜崎の手を取り、言ってやった。

「お前の方がいい」

目も口もまぁるく開いて固まった竜崎は、瞬間で復活した。ずるっと勢いよく僕の中からおもちゃを引き抜き、すぐさま、より質量があって、堪らなく熱いものを替わりに埋め込んだ。

まぁ、慣れればどんなものにも愛着は沸く。僕の肩口に顔を埋めて、僕の名前を連呼しながら、腰を激しく律動する男の背中に爪を立てて、行為に没頭していった。

END