Episode 12.3 (Extra chapter) side:Ann
「グリッソム?」
オフィスにずかずかと入ってきたキャサリンの声に、グリッソムは顔を上げた。
「打ち合わせの時間、覚えてる?」
グリッソムはやや唇を尖らせて壁の時計を見た。
「もうそんな時間か」
「何をそんなに必死に読んでるわけ?」
キャサリンはグリッソムが手にしている本を見た。
首を傾けて、背表紙のタイトルを読んだ。
「・・・赤毛のアン??」
素っ頓狂な声を上げる。
「読んだことあるか?」
本を片手で軽く持ち上げて見せながら、グリッソムが尋ねた。
「もちろんあるわよ」
キャサリンは目を回して答えた。
「女の子ならたいてい読んでるもんよ。リンゼイも読んでたわ」
「有名な本だものな」
グリッソムは本にしおりを挟んで机の上に置くと立ち上がった。
「なんで、赤毛のアン?」
並んでオフィスを歩いて出ながら、キャサリンはグリッソムに尋ねた。
グリッソムは少し考えて、ニヤリと笑いながら答えた。
「借りたんだ」
答えになってない、と思いながら、キャサリンは愛想笑いを返した。
話をはぐらかすのは、彼の常套手段だ。こういうときの彼は決して答えを言ってはくれないから、彼女は早々に諦めることにした。
しかしまあ、グリッソムが少女小説とは。
・・・ところで赤毛のアンて、どんな話だったっけ。
私も帰ったらリンゼイの本をちょっと読んでみるかしら。
数週間後、トレースラボでホッジスを見かけたサラは、彼が赤毛のアンを読んでいるのを見て絶句した。
実はラボでは赤毛のアンが静かなブームになっていた。
キャサリンが読んでいたのをジャッキーが借り、それが指紋ラボに広まってマンディが読んでいたのをヘンリーが見て読み始め、隠れアンフリークだったウェンディと意気投合して話しているのを見たホッジスが、悔し紛れに読み始めたのだが、そんなことはサラには知る由も無かった。
ただ、自宅に帰ったときに、グリッソムから返して貰った本がちゃんと差さっているか、思わず自分の本棚を確認してしまったのだった。
AN : さああなたもこれで赤毛のアンが読みたくなったのでは?(笑)
ちなみにアンシリーズは6作くらいあります。これを書くためにもちろん私は読み返しました。
なお、アンとギルバートの関係が実際に発展するのはシリーズ3作目以降です。
いよいよ次が最後です。
