固い絆

第3章「アズカバン」

その日の夜。
 グリモールド・プレイス12番地。
「しばらく私は犬の姿で生活するよ。そうすれば、魔法省の目を欺けるからね。」
 シリウスが言った。
「私もシリウスと一緒にいるよ。ロン、ハーマイオニー、いろいろ大変だと思うが、決して希望は捨てないでくれ。私たちはなんとしてもハリーを助けたいと思っているよ。もしハリーのことで何かわかったら、すぐに知らせてほしい。いいね?」
 ルーピンの言葉に、ロンとハーマイオニーはうなずいた。
 そして、彼らは煙突飛行ネットワークでホグワーツへ戻っていった。

アズカバンの最上階。
 そこに位置する冷たい監獄の中で、ハリーはひざを抱えていた。
 普通なら寝ている時間だが、彼は眠ることができなかった。
「シリウス…」
 ハリーはシリウスの名前をつぶやいた。
 彼は今頃どうしているのだろう? もう魔法省の連中に見つかって、アズカバンへ連れてこられたのだろうか?
 そうなれば、シリウスは確実にディメンターのキスを受けることになる。
「僕のせいだ!! シリウスは無実なのに、僕が話したから!!」
 ハリーはひざに顔をうめた。
「本当にごめんなさい。シリウス…」

そのとき、ハリーはひんやりとした感覚に襲われた。
 彼が顔をあげると、そこにはディメンターがいた。
 ハリーは杖を持っていなかった。 パトローナスさえ出すことができない。
 ディメンターの襲撃に、ハリーは悲鳴を上げてその場に倒れこんだ。
 そして、彼の意識は闇にのみこまれていった。

次の日。
 ホグワーツではハリーがアズカバンに送られたというニュースが広まっていた。
 おかげで、ハリーと親しいロンやハーマイオニーが周囲から白い目で見られることになったが、2人は気にとめなかった。
 そして、授業の合間にロンとハーマイオニーが廊下を歩いていたとき、彼らはアンブリッジに会った。
「何か用ですか?」
「ミスター・ポッターと親しいあなたたちに、伝えておきます。彼にディメンターのキスを実行することにしました。実行日は明日の夜よ。殺人鬼のシリウス・ブラックをかくまっていたような人ですもの。そんな人に裁判の必要はないと、魔法省が判断したのよ。もう彼は永遠に戻ってこられないわ」
 そういって、彼女は立ち去った。
 ロンとハーマイオニーは言葉を失い、顔を見合わせた。
 もう、一刻の猶予もなかった。